同軸加工(どうじくかこう)とは、複数の穴や外径が“同じ中心軸上”に位置するよう加工する技術を指します。主に旋盤加工、マシニング加工、ボーリング加工などで用いられ、部品の回転精度や組付け精度を左右する極めて重要な工程です。
ベアリングハウジング、シャフト、円筒形状のケース部品など、精密機械では欠かすことができません。
高い同軸度が確保されていないと、振れの増大や摩耗、不具合の発生につながるため、製造現場では「いかに芯を合わせるか」が品質の要となります。
同軸加工が重要とされる理由
回転精度の向上
モーターや回転軸では、わずかな同軸度不良が振動・騒音の原因になります。
外径・内径が正しく同軸であるほど、高速回転でも安定します。
ベアリング寿命の延長
ベアリングハウジングとシャフトの芯がずれていると、偏荷重が発生し寿命の短縮につながります。
組付け精度・直進性の確保
スリーブ、シリンダー、ガイド部品などでは、同軸度が悪いと動作抵抗が増え、製品全体の性能に影響します。
同軸加工に使われる代表的な加工方法
旋盤による同軸加工
旋盤は同軸加工が最も得意。ワークをチャックで掴み、中心を保持したまま削るため、同一セット内では高い同軸度を得やすい。
マシニングセンタでの同軸加工
複数面にまたがる穴や外形はマシニングで行うことが多い。
治具の固定精度やワークのセット精度が同軸度に直結するのが特徴。
ボーリング・リーマ加工
特に内径同士の同軸度を高めるのに向いている。
既存穴の芯を基準にして加工するため、精密な穴位置合わせが可能。
芯出し精度を高めるためのポイント
チャックの選定と心押台の調整(旋盤)
- 3爪チャックは早く掴めるが振れが出やすい
- 高精度が必要なら、4爪インデペンデントチャックで1つずつ調整
- 心押台の芯ズレ確認は必須
旋盤加工では「把握精度 = 同軸度」に直結するため、チャック管理は最重要項目です。
ワークの振れ測定を徹底する
ダイヤルゲージ・インジケーターでの測定は基本。
以下を確認してから加工をスタートさせるのが鉄則です。
- 把握部の振れ
- 基準面の振れ
- 内径の芯ズレ
- 負荷方向の偏心
僅かな振れでも、仕上げでは大きな誤差となって現れるため、測定の段階で妥協しないことがポイントです。
基準穴を最優先で加工する(マシニング)
マシニング加工では「どの穴を基準に加工するか」が同軸度を決めます。
- 先に加工する基準穴
- 基準面の位置精度
- クランプ時のワーク変形
これらを見誤ると、後工程で同軸度が合わなくなるため注意が必要です。
クランプによる変形対策を行う
薄肉ワークやアルミ部品では、クランプ圧での歪みが同軸誤差の原因に。
- 均等圧で固定する
- ゴムシートやソフトジョーの使用
- 最終工程だけは軽いクランプで仕上げる
といった工夫が有効です。
工具摩耗・刃先の状態を常に管理
ドリル・エンドミル・ボーリングバーは、摩耗すると芯がそろわず穴が流れます。
特に深穴では逃げ量の変化が顕著になるため、工具交換のタイミングが同軸度に強く影響します。
同軸加工で発生しやすい不良と対策
芯ズレ
原因:把握不良、基準面の誤り、治具の精度不足
対策:基準の見直し、チャック整備、治具精度向上
真円度不良・うねり
原因:切削条件の不安定、工具摩耗、振動
対策:切削条件の最適化、高剛性工具の採用、バイト突き出しの最小化
穴位置の偏り
原因:センタードリルの芯ズレ、ワークの変形
対策:下穴前に芯出し確認、クランプ圧の調整
精度を安定させるための実践的チェックリスト
- ワークを掴んだ後、必ず振れを測定する
- 基準穴・基準面の明確化
- クランプ位置と圧力を最適化
- 刃物の突き出し量は最小限に
- 工具摩耗を管理し、早めに交換
- 加工後の同軸度・真円度を測定して次工程にフィードバック
現場では、この「基本動作」の積み重ねが最終精度を大きく左右します。
まとめ:同軸加工は“芯出し精度”がすべて
同軸加工は、ただ削ればよいわけではなく、
「どの基準で加工し、いかに振れを抑え、精度を維持するか」
が品質を決める重要ポイントです。
旋盤・マシニング・ボーリングのいずれにおいても、
芯出し精度、工具状態、クランプ方法を正しく管理することで、
同軸度の高い部品を安定して生産できます。

