超硬合金は、切削工具やプレス金型、耐摩耗部品などで幅広く使われる高性能材料です。その優れた「硬度」「耐摩耗性」「熱特性」は、加工効率や製品寿命を左右する重要な要素です。今日は、超硬合金の基礎知識から特性比較、そして材質選定のポイントまで、現場で役立つ情報を詳しく解説します。
超硬合金とは?基本特性を理解しよう
超硬合金の定義
超硬合金とは、主にタングステンカーバイド(WC)を硬質粒子として用い、コバルト(Co)を結合材として粉末冶金法で焼結した複合材料です。金属の靭性とセラミックの硬度を兼ね備えた特性が特徴で、高硬度・高耐摩耗性・耐熱性を求められる分野で活躍しています。
製造方法の概要
- WC粉末とCo粉末を混合
- 成形(プレス成形や押し出し成形)
- 高温で焼結し、緻密な組織を形成
この焼結プロセスにより、緻密で欠陥の少ない構造が得られ、機械的特性が大幅に向上します。
硬度の特徴と測定方法
超硬合金の硬度値
超硬合金は非常に高い硬度を持ちます。主な硬度指標は以下の通りです。
- ロックウェル硬度(HRA):89〜94
- ビッカース硬度(HV):1,400〜2,200
- ヌープ硬度(HK):同程度の範囲
これは一般的な工具鋼(HRC 60前後)よりもはるかに高い値であり、セラミックやダイヤモンドに次ぐ硬さを誇ります。
硬度比較表
表タイトル:主要材料の硬度比較表(HRA・HV値)
| 材料 | ロックウェル硬度(HRA) | ビッカース硬度(HV) |
|---|---|---|
| 工具鋼(焼入れ済) | 60〜65(HRC換算) | 600〜900 |
| 超硬合金 | 89〜94 | 1,400〜2,200 |
| セラミック | 92〜96 | 1,800〜2,800 |
| ダイヤモンド | 100近い | 10,000以上 |
硬度が性能に与える影響
- 高硬度により、切削工具は摩耗しにくく寿命が延びる
- しかし硬度が高すぎると脆性が増し、衝撃で欠けやすくなる
- 材質設計では「硬度」と「靭性」のバランスが重要
耐摩耗性の重要性
摩耗のメカニズム
摩耗は超硬合金の寿命を左右する大きな要因です。主な摩耗形態には以下があります。
- 研磨摩耗:切削時に生じる切りくずや加工材による表面削り
- 凝着摩耗:高温下での溶着と剥離による損耗
- 酸化摩耗:高温酸化による表面劣化
これらは使用環境により発生の仕方が異なり、適切な材質選定とコーティングで大きく改善可能です。
用途別の耐摩耗性評価
- 切削工具:連続加工に耐える高い耐摩耗性が必須
- プレス金型:繰り返し荷重での摩耗を防ぎ、寸法精度を保持する必要がある
熱特性と高温下での強度
熱伝導率
超硬合金は熱伝導率が高く、切削熱を効率的に逃がせるため、工具の焼き付きや熱割れを防ぎます。熱伝導率は20〜100 W/m・K程度で、組成や粒径によって変動します。
高温硬度と耐酸化性
- 高温でも硬度を維持し、500〜800℃でも使用可能
- 表面の酸化皮膜が耐食性を向上させ、工具の寿命をさらに延ばす
材質選定のポイント
粒径の選び方
- 微粒子タイプ:高硬度・高耐摩耗性だが脆性が高い
- 大粒径タイプ:靭性が高く、衝撃荷重のある用途に向く
コバルト含有量の調整
- 高Co量:靭性重視、金型や衝撃を受ける部品向け
- 低Co量:硬度重視、連続切削や高精度加工に適用
コーティングの利用
TiN、TiAlN、AlCrNなどのコーティングを施すことで、摩耗・酸化・熱影響を抑え、性能をさらに引き上げられます。
まとめ
超硬合金の性能は「硬度」「耐摩耗性」「熱特性」のバランスで決まります。
- 高硬度で摩耗を防ぐ
- 靭性を確保して欠けを防ぐ
- 高温でも安定した特性を維持する
適切な粒径・コバルト量・コーティングを選定することで、用途に最適な超硬合金を導き出すことができます。

