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エンドミル選定ガイド ~最適な工具で高精度加工~

金属加工基礎知識

はじめに

エンドミルは、切削加工において非常に重要な役割を果たす工具です。適切なエンドミルを選定することで、加工精度の向上や工具寿命の延長が期待できます。本記事では、エンドミルの種類や用途、選定のポイントについて詳しく解説します。

エンドミルの基本

エンドミルは、フライス加工に用いられる切削工具の一種で、さまざまな材料の加工に対応する重要な工具です。用途や加工方法に応じて多くの種類が存在し、それぞれに特性があります。ここでは、エンドミルの基本的な要素について詳しく解説します。

材質

  • 超硬エンドミル
    耐摩耗性が高く、高速加工に適している。耐熱性にも優れ、長時間の使用が可能。
  • ハイスエンドミル(HSS)
    靭性があり、低速加工や複雑な形状の加工に向いている。コストパフォーマンスに優れる。
  • ダイヤモンドコートエンドミル
    高硬度材料の加工に適しており、長寿命。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や焼結合金などにも対応可能。

刃数

  • 2枚刃
    アルミや樹脂の加工に適し、切りくず排出性が良い。切削抵抗が少なく、効率的な加工が可能。
  • 4枚刃
    鉄やステンレスなどの硬い材料に向いており、高精度な加工が可能。加工面の仕上がりが向上。
  • 多枚刃(6枚以上)
    高い表面仕上げを求められる加工に適している。特に高硬度鋼の精密加工に向いている。

コーティング

  • TiN(窒化チタン)
    一般的なコーティングで摩擦を減らし、耐摩耗性を向上。コストも比較的低い。
  • TiAlN(チタンアルミナイトライド)
    耐熱性が高く、高速切削に適している。ステンレス鋼やチタン合金の加工に有効。
  • DLC(ダイヤモンドライクカーボン)
    アルミや銅などの非鉄金属の加工に最適。切削抵抗を低減し、工具寿命を向上。

適切なエンドミルの選び方

エンドミルを適切に選定することは、加工精度の向上や工具寿命の延長、コスト削減につながります。加工する材料や目的に応じて、最適なエンドミルを選ぶためのポイントを詳しく解説します。

加工する材料

  • アルミや樹脂 → 2枚刃または3枚刃の超硬エンドミルが適切。DLCコーティングを施すとさらに効果的。
  • 鉄やステンレス → 4枚刃以上のTiAlNコーティング付きエンドミルが推奨。熱の影響を抑えつつ、高精度な加工が可能。
  • 高硬度材料(焼入れ鋼など) → ダイヤモンドコートやCBN(立方晶窒化ホウ素)エンドミルが効果的。加工速度を適切に調整することが重要。

加工形状

  • 溝加工 → 溝深さに応じた長さのエンドミルを選択。スパイラル角の違いにも注意。
  • 側面加工 → 高剛性の多刃エンドミルが有利。特に仕上げ加工では振れを抑える工夫が必要。
  • 仕上げ加工 → 刃先精度の高いものを選ぶ。超仕上げエンドミルを活用することで、高品質な仕上がりを実現。

切削条件

  • 送り速度、切り込み量、回転速度に応じたエンドミルを選定する。
  • 切りくずの排出性も考慮し、適切な刃数を選ぶ。
  • 加工機の剛性やクーラントの使用状況も影響するため、総合的な判断が必要。

エンドミルの使用時の注意点

  • 工具の摩耗をチェック
    摩耗したエンドミルを使用すると、仕上がり精度が低下し、加工効率が悪化。定期的な交換が必要。
  • 適切な切削液を使用
    冷却効果を高め、工具寿命を延ばす。乾式加工の場合は、適切なコーティングを選ぶことが重要。
  • 保持具(コレットやチャック)の適切な選定
    工具のブレを抑え、高精度加工を実現。高精度コレットを使用すると、振れ精度が向上。

まとめ

エンドミルの選定は、加工精度や効率に大きく影響を与える重要な要素です。材質、刃数、コーティング、加工条件を総合的に考慮し、最適なエンドミルを選ぶことが成功の鍵となります。また、適切な工具管理と使用方法を徹底することで、より高精度な加工が実現できます。エンドミル選定の参考になれば幸いです。

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