ダイカスト金型の冷却設計が品質を左右する!効率アップの最重要ポイント

金型

ダイカスト成形では、「金型温度」が製品品質・生産効率の両方に大きく影響します。
その温度を最適に保つ役割を担うのが冷却設計(冷却回路設計)です。

冷却が適切でない金型は、湯流れ不良やヒケ、寸法不良、金型寿命低下など、さまざまな問題を引き起こします。
今日は、ダイカスト金型の冷却設計が重要とされる理由から、最適化のポイント、トラブル事例まで詳しく解説します。

ダイカスト金型で冷却が重要な理由

ダイカスト成形では、溶湯(アルミ・亜鉛など)を高速・高圧で金型内に射出します。
その際、金型内部の温度差が大きいと、以下のような不具合が発生しやすくなります。

主な品質トラブル

  • ショートショット(湯回り不良)
  • ヒケ・反りなどの寸法不良
  • 巣(ブローホール)・ガス溜まり
  • バリの発生
  • 表面欠陥(シワ・肌荒れ)

これらの不具合の多くは、金型の温度ムラが引き金になります。
つまり、冷却設計=品質を決めるコントローラーと言っても過言ではありません。

冷却設計の基本:金型温度を“均一”に保つことが最優先

冷却設計の根本目的は
「金型の温度を一定かつ均一に保つこと」です。

均一温度が必要な理由

  • 溶湯の流動性が安定する
  • 固化速度が一定となる
  • 寸法ばらつきが抑えられる
  • 表面品質が安定する
  • サイクルタイムが短縮できる

逆に温度が部分的に高い・低いと、反りやヒケ、離型不良が起きやすくなり、生産性の低下につながります。

冷却回路設計のポイント:効果的な配置と径・流量の最適化

冷却効率を高めるためには、冷却水路(コア・キャビティ・スライダーなど)の配置が重要です。

冷却回路の配置

  • 加熱されやすい部位に近づける
    • 肉厚部
    • ゲート付近
    • コアの根元など
  • 水路とキャビティ面の距離を最適化(一般的に10〜15mm)
  • 水路同士の間隔を均等にする

熱負荷に応じた水路の配置をすることで、金型を“自然と均一な温度に保つ”ことができます。

冷却水の流量と配管径

冷却水の「流れ」が弱いと、どれだけ良い水路を設けても効果が半減します。

  • 流量が不足すると熱が流しきれない
  • 配管径が小さすぎると抵抗が大きくなる
  • 水路の曲がりや分岐が多いほど流れが悪くなる

効率的な冷却には、流量と圧力のバランスが不可欠です。

乱流を意識した水路設計

実は、流れが“遅い|滑らかすぎる”状態は効率が悪くなります。

冷却効率が最も高まるのは 乱流状態

乱流→壁面の熱が効率よく奪われる
層流→表面の熱移動が遅くなる

そのため、

  • 水路の径・流速の最適化
  • 直線水路だけでなく適度な曲率の設計
    などが重要となります。

冷却不良が招く典型的なトラブル例

ショートショット

金型温度が低すぎると溶湯が途中で固まり流れが止まる。

反り・ヒケ

部分的に冷却が強すぎたり弱すぎたりすると固化速度が変わり、変形の原因に。

バリの増加

温度上昇で金型剛性が落ち、合わせ面の密着不良が発生。

寸法のばらつき

毎ショット温度が安定しないと寸法精度が乱れ、加工後工程にも影響。

冷却設計の見直しで、こうした不良は大幅に改善するケースが多いです。

冷却効率を上げる最新技術

ダイカスト金型では、従来の直線的な水路設計だけでなく、近年は以下の技術も注目されています。

コンフォーマル冷却(水路の3D造形)

3Dプリンターで金型の水路を自由形状に設計し、均一冷却を実現。
複雑形状でも柔軟に配置でき、サイクルタイム短縮効果が高い。

温度センサーによるリアルタイム監視

射出ポイントごとに温度を測定し、温調機と連動して温度管理を自動化。

高効率熱交換流体(油・高圧水など)

より高い冷却効率が必要な金型で採用されるケースが増加。

生産効率を上げるための実践チェックリスト

冷却設計の改善は、品質だけでなく生産性にも直結します。
以下は見直しの際に役立つチェック項目です。

  • 水路の偏りがないか
  • キャビティ表面との距離は適切か
  • 水の流量が十分か
  • 温調機の能力が金型に適しているか
  • 温度ムラが出ている箇所はどこか
  • 肉厚部分に過剰な蓄熱がないか
  • サイクルタイムが安定しているか

「不良が減らない」「サイクルが短縮できない」という場合、冷却回路の改善で劇的に解決することが多々あります。

まとめ:冷却設計はダイカスト金型の“心臓部”

ダイカスト金型の冷却設計は、品質・生産性・金型寿命のすべてに直結する非常に重要な要素です。

  • 品質トラブルの多くは金型温度ムラが原因
  • 水路配置・流量・乱流化が冷却効率の鍵
  • 温度管理が安定すると製品精度が向上
  • 近年はコンフォーマル冷却など高度化が進んでいる

冷却設計を最適化することで、
高品質な製品の安定量産・サイクルタイム短縮・金型寿命延長
というメリットが得られます。

当グループでは金型の成形サイクル短縮と品質向上に欠かせない金型内の3D水管(3D Cooling Channel / コンフォーマル冷却)を、高精度で加工する技術を保有しています。
従来の直線的な冷却回路では困難だった“温度ムラの解消”や“サイクルタイム短縮”を可能にし、金型性能を次のレベルへ引き上げます。

金型内3D水管とは

製品形状に沿うように、金型内部へ立体的な冷却水路を形成する技術です。成形品の肉厚や凹凸に合わせて水管を3次元的に配置できるため、製品形状に最適化された冷却が可能になります。

3D水管がもたらす主なメリット

冷却効率の大幅アップ

水路を製品形状の近傍まで配置できるため、温度ムラを抑え、均一な冷却効果を得られます。結果としてサイクルタイムを大幅に短縮できます。

成形不良の抑制

反り、収縮ムラ、ボイドなど、熱が原因で起こる成形不具合を軽減し、成形品の寸法安定性と品質を向上させます。

自由度の高い水路設計

曲線・複雑形状・三次元経路にも対応可能。通常の機械加工では実現できない水路配置を可能にします。

金型の長寿命化

冷却バランスの最適化により、金型への熱負荷を軽減。結果として、金型寿命の延長にもつながります。

当グループの強み

金属3Dプリンターによる高精度製作

複雑な水路形状も当社の設備で立体的に加工可能。高精度なクリアランスで水路を形成し、漏れのない品質を保証します。

量産成形まで一貫対応

試作・トライ→調整→量産金型まで一貫して対応。成形現場の課題に合わせた最適な3D水管を提供します。

「金型内の3D水管で成形品質を高めたい」「冷却サイクルを短縮したい」など、金型改善をご検討の企業様はぜひお問い合わせください。最適な冷却回路設計をご提案します。

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