ヘリサートは、ねじ穴が損傷した場合や、ねじの強度を高めたい場合に使用されるインサートです。特に、金属やプラスチックのような柔らかい素材において、その効果は絶大です。今回は初心者でも簡単に理解できるよう、ヘリサートの使い方と選び方について解説いたします。
ヘリサートとは?
「ヘリサート(Heli-Coil、またはヘリコイルとも)」とは、ネジ穴の補修や補強に用いられる螺旋状の金属製インサートです。主にアルミや樹脂など、比較的柔らかい母材に対して、強度の高いネジ締結を実現するために使用されます。
🛠 ヘリサートの主な用途
1. ネジ穴の補修
既存のネジ穴が摩耗したり破損した場合、ヘリサートを挿入することでネジ山を再生できます。
2. ネジ強度の向上
アルミニウムやマグネシウムなど、比較的強度の低い素材に対して、耐久性のあるネジ締結部を作れます。
3. 耐摩耗性の確保
頻繁にネジを締めたり緩めたりするような部分(例:機械のカバー)では、母材のネジ穴が摩耗しやすいため、ヘリサートを使うことで耐久性をアップできます。
⚙️ ヘリサートの挿入手順(基本フロー)
- 下穴加工(ドリルで所定サイズの穴を開ける)
- 専用タップでねじ切り
- 挿入工具でヘリサートを挿入
- (場合によっては)タングを折る
※「タング」とは、挿入時に工具に引っ掛ける部分で、最後に折って取り除きます。
📏 種類とサイズ
ヘリサートには以下のような種類があります。
- フリーランニングタイプ
標準タイプで、滑らかにボルトの出し入れが可能。 - ロックタイプ
セルフロック機構があり、ネジの緩み止め機能を持つ。
サイズもM2〜M20など多種多様にあり、ミリネジやユニファイネジ(UNC/UNF)にも対応します。
ヘリサートのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|
軽量素材でも強力なネジ締結が可能 | 専用工具が必要 |
ネジ穴の再生ができる | 初期コストがやや高め |
耐振動性・耐摩耗性が向上 | 正しく挿入しないと脱落や破損の恐れ |
ヘリサートの使い方
- ねじ穴の清掃
まず、損傷したねじ穴を清掃し、異物を取り除きます。 - ドリルで拡張
指定されたサイズのドリルを使用して、元のねじ穴を拡張します。 - タップ加工
専用のタップを使用して、拡張したねじ穴に新しいねじ山を形成します。 - インサートの挿入
ヘリサート挿入ツールを使用して、新たなねじ山にヘリサートを挿入します。 - タングの折り取り
インサートが適切に挿入されたら、余分なタングを折り取ります。
ヘリサートの選び方
- サイズの選定
使用するねじのサイズに合ったヘリサートを選びます。ヘリサートのパッケージには、適用するねじサイズが明記されています。 - 材質の確認
使用環境に応じて、適切な材質のヘリサートを選びます。通常はステンレススチール製ですが、特定の用途には他の材質も利用されます。 - パッケージ内容の確認
ヘリサートのキットには、インサート、タップ、挿入ツールが含まれています。必要なツールが揃っているか確認しましょう。
実際に使ってみよう
ヘリサートの使用は初心者にも簡単で、基本的な工具があれば誰でも行うことができます。ヘリサートを初めて使用する際には、必ず説明書をよく読み、手順を守って作業を行いましょう。また、ヘリサートを挿入する際には、適切なトルクで作業することが重要です。
使用例・業界
- 自動車・航空機産業(アルミ部品に)
- 精密機器や電子機器の筐体
- 医療機器や金型関連部品
まとめ
ヘリサートは、ねじ穴の補強や修復に非常に有効なツールです。初心者でも簡単に使えるように設計されており、正しい手順を守れば、誰でもプロフェッショナルな仕上がりを実現できます。ぜひ、この記事を参考にして、ヘリサートを使いこなしてください。
