アルミニウムは軽量で加工しやすい金属ですが、適切な手法を取らないと加工不良や工具の摩耗が発生しやすくなります。今日は、アルミ切削加工のコツと失敗しないためのポイントについて詳しく解説します。
アルミ切削加工の特性を理解する
アルミニウムの特性
アルミニウムは以下のような特徴を持つ金属です。
- 軽量である: スチールに比べて約1/3の密度。
- 柔らかく加工しやすい: しかし、工具の選択や加工条件を誤ると表面が粗くなったり、バリが発生しやすい。
- 熱伝導率が高い: 熱がこもりやすく、加工中に工具が過熱しやすい。
- 粘りがあり切りくずが絡みやすい: 適切な切削条件と切りくず処理が不可欠。
アルミの種類と加工への影響
アルミニウムにはさまざまな合金があり、それぞれの特性によって加工しやすさが異なります。
- 純アルミ(1000系): 柔らかく加工しやすいが、切削時に粘りが出る。
- アルミ合金(2000系・6000系・7000系など): 強度が高くなるが、加工硬化しやすく切削条件に注意が必要。
- 鋳造アルミ(ADC12など): シリコン含有量が多く、工具の摩耗が進みやすい。
工具選びのポイント
アルミ加工では、適切な工具を選ぶことが成功の鍵となります。
工具材質
- 超硬(カーバイド)工具: 高速切削に適しており、耐摩耗性が高い。
- ハイス(HSS)工具: 低速加工向け。アルミには向いているが耐久性は超硬工具に劣る。
- ダイヤモンド工具(PCD・CVD): 高精度・高耐久性を求める場合に最適。
工具形状
- 刃数: 2枚刃や3枚刃のエンドミルが適しており、切削抵抗を抑えながらスムーズな加工が可能。
- 切れ刃の角度: 鋭利な刃先が理想。ポジティブレーキ(前向きのすくい角)を持つ工具が適切。
- 溝幅: 切りくずの排出を考慮し、広めのフルートが望ましい。
刃先コーティング
アルミ切削には、摩擦を減らし溶着を防ぐコーティングが有効。
- DLC(ダイヤモンドライクカーボン): 高い耐摩耗性と低摩擦係数を持つ。
- TiAlN(チタンアルミナイトライド): 高温耐性があり、長寿命化に貢献。
- ノンコーティング: アルミ専用の鋭利な工具では、コーティングなしの方が良い場合もある。
適切な切削条件の設定
切削速度(回転数)
アルミは高回転での切削が可能。
- 目安: 800m/min ~ 1,500m/min(エンドミル使用時)
- ポイント: 低回転だと溶着が発生しやすいので、適正な回転数を維持。
送り速度
- 高めの送り速度(F値)を設定し、切りくずを効率よく排出。
- 切りくずが詰まらないよう、送り量と切り込み量を適正化。
切り込み深さ
- 仕上げ加工では浅めの切り込み。
- 荒加工時は深めに取り、効率的な切削を行う。
クーラントの適用
クーラントの種類
- 水溶性クーラント: 冷却効果が高く、溶着やバリの発生を抑える。
- エアブロー: 切りくずの排出を助け、ドライ加工にも適用可能。
- オイルミスト: 潤滑性を向上させ、仕上げ面を向上させる。
クーラントの供給方法
- クーラントを大量に供給し、熱の発生を抑える。
- 加工部に直接エアブローを当て、切りくずの排出を促す。
切りくず処理の工夫
- 高送りで短い切りくずを作り、絡まりを防ぐ。
- エアブローやオイルミストで切りくずを効率的に排出。
- フルート(溝)が広めの工具を選び、詰まりを防ぐ。
バリや溶着対策
バリを抑える方法
- 鋭利な刃先を使用し、適正な切削条件を設定する。
- 高速加工を行い、塑性変形を抑える。
- 逆回転(バックカット)でバリを削り取る。
溶着を防ぐ方法
- 適切なクーラントを使用する。
- 適正な切削速度を維持し、熱の発生を抑える。
- コーティング工具を利用し、摩擦を減らす。
まとめ
アルミ切削加工を成功させるためには、工具の選定、適切な切削条件の設定、切りくず処理、冷却方法などの工夫が不可欠です。これらのポイントを押さえることで、加工精度を向上させ、工具寿命を延ばすことができます。
これらの技術を活かし、より高品質なアルミ加工を実現しましょう!
