ボーリング加工とは
ボーリング加工は、既存の穴を拡大し、より精度の高い寸法や表面仕上げを実現するための切削加工方法です。ドリル加工とは異なり、既存の穴を高精度に加工するため、通常は仕上げ加工に使用されます。
ボーリング加工の特徴
- 高精度な穴加工:
- 内径の寸法精度や真円度、表面粗さが求められる場合に適しています。
- 大径穴の加工:
- 大きな径の穴を加工する際に、ドリルでは難しい場合に有効です。
- 既存の穴の補正:
- 鋳造品や溶接構造物などで、既存の穴がずれていたり、寸法が不正確な場合に補正できます。
ボーリングバー
ボーリング加工に使用される工具はボーリングバーと呼ばれます。以下は主な種類です。
- シングルポイントボーリングバー:
- 刃先が一つの切削工具。精密な調整が可能で、深穴や大径穴の加工に向いています。
- マルチポイントボーリングバー:
- 複数の刃先を持つ工具。生産性が高く、比較的浅い穴の仕上げに適しています。
CNCマシニングセンターでのボーリング加工
CNC(コンピュータ数値制御)マシニングセンターを使用することで、以下の利点があります:
- 高い再現性:
- プログラムによる精密な制御が可能で、一貫した品質の穴加工が行えます。
- 複雑な形状の加工:
- コンピュータ制御により、複雑な穴形状や複数の穴を正確に加工することができます。
- 自動化と効率化:
- 自動ツールチェンジャーや測定装置との連携により、加工工程の自動化と効率化が図れます。
加工のポイント
ボーリング加工を成功させるためには、以下の点に注意が必要です:
- 工具の選定:
- 加工する材料や穴の寸法、深さに適した工具を選定することが重要です。
- 加工条件の設定:
- 適切な切削速度、送り速度、切込み量を設定することで、工具の寿命を延ばし、加工精度を向上させることができます。
- クーラントの使用:
- 切削熱の抑制や切りくずの排出を助けるために、適切なクーラントの使用が推奨されます。
ボーリング加工の受注プロセス
- 問い合わせと見積もり依頼
- 当社ではお客様からの問い合わせに対し、加工内容の詳細(図面、仕様、数量、納期など)を確認致します。
- 加工に必要な工数や材料費、工具費などを考慮して見積もりを作成し、お客様に提示させて頂きます。。
- 受注と注文確認
- 見積もりが承認され次第、正式な受注となります。注文書を受け取り、加工の具体的なスケジュールや要件を再確認します。
- 加工準備
- 加工する材料や工具の準備を行います。
- 必要に応じて、加工プログラム(CNCプログラム)の作成や調整を行います。
- ボーリング加工
- CNCマシニングセンターを使用して、指定された仕様に基づいてボーリング加工を実施します。
- 加工中は、工具の摩耗や加工精度を定期的に確認し、必要に応じて調整を行います。
- 品質検査
- 加工後、寸法や表面仕上げの品質検査を行います。必要な公差や品質基準に合致しているかを確認します。
- お客様の要求に応じて、検査報告書を作成します。
- 納品
- 加工品が規定の品質基準を満たしていることを確認した後、梱包してお客様に納品いたします。
- 納品後のフォローアップとして、お客様からのフィードバックを受け取ります。
受注に際しての注意点
- お客様とのコミュニケーション
- お客様の要求や仕様を正確に理解するために、詳細なヒアリングを行います。
- 途中で仕様変更や追加要求が発生した場合には、速やかに対応し、お客様と調整を行います。
- 図面と仕様の確認
- 加工に必要な図面や仕様書を事前に入手し、詳細を確認します。
- 特に、寸法公差や表面粗さなどの重要な要件については、再確認が必要です。
- 納期の遵守
- 加工スケジュールを厳守し、納期に遅れが生じないよう管理します。
- 万が一、納期に遅れが生じる場合には、早めにお客様に連絡し、代替策を協議します。
- 品質管理
- 加工中および加工後の品質管理を徹底し、お客様の要求に合致する品質を確保します。
- 必要に応じて、第三者検査機関による品質検査を実施することも考慮します。
設備と技術
- CNCマシニングセンター
- 高精度なボーリング加工を行うための基本設備です。
- ボーリングバーおよびツールホルダー
- 加工する穴の寸法や形状に適した工具を選定します。
- 測定機器
- 加工後の寸法検査や表面仕上げの確認に使用します。例えば、3次元測定機や内径測定器などです。
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ボーリング加工の手順
1. 準備
a. 作業計画の作成
- 加工する部品の図面を確認し、必要な寸法、公差、仕上げを把握します。
- 使用するボーリングツールと機械の選定を行います。
b. ツールと機械の準備
- 適切なボーリングツール(例えばボーリングバー)を選定し、取り付けます。
- ボーリングバーの切削エッジを確認し、必要に応じてシャープに研ぎます。
c. 部品の固定
- 加工する部品を機械のチャックやバイスにしっかりと固定します。部品がしっかりと固定されていることを確認します。
2. ボーリング加工の設定
a. 機械の設定
- スピンドル速度、送り速度、切削深さなどの加工条件を設定します。これらのパラメータは材料の種類、ツールの特性、仕上げの要求によって異なります。
b. 切削液の準備
- 切削液(クーラント)を適切に供給します。切削液は工具の寿命を延ばし、加工面の品質を向上させます。
3. ボーリング加工の実行
a. 初回切削
- 初回の切削を慎重に行い、部品の内径を粗加工します。粗加工では大きな切削量を設定し、時間を短縮します。
b. 測定と調整
- 粗加工後、内径を測定し、必要に応じてボーリングバーの設定を微調整します。
c. 仕上げ切削
- 仕上げ切削では小さな切削量を設定し、内径を精密に仕上げます。仕上げ切削により、所定の寸法と表面仕上げを達成します。
4. 最終確認
a. 内径の測定
- 加工が完了した内径を測定し、図面通りの寸法、公差、仕上げが達成されていることを確認します。
b. 部品の取り外し
- 加工が完了した部品を機械から取り外します。
c. 最終仕上げ
- 必要に応じて、内径のバリ取りや追加の仕上げ作業を行います。
5. メンテナンス
a. ツールの点検と保管
- 使用したボーリングツールを点検し、磨耗や損傷がないか確認します。適切に保管します。
b. 機械の清掃
- 機械を清掃し、次回の作業に備えます。
これらの手順を丁寧に行うことで、高精度な内径加工が可能になります。ボーリング加工は精密な作業が求められるため、常に注意深く作業を進めることが重要です。