金属加工でよく使われる用語集を初心者向けに説明します。
アニーリング
金属を加熱し、徐々に冷却することで、内部応力を除去し、延性や靭性を向上させる熱処理方法。
アルミニウム
軽量で耐食性のある非鉄金属。航空機や自動車部品に広く使用される。
バリ
加工後の金属のエッジに残る不要な突起。取り除く必要がある。
インサート
交換可能な切削刃。通常、超硬材質で作られている。
ワイヤーカット
電極ワイヤーを使用して材料を切断する放電加工方法。
フライス盤
フライス(Milling)は、工作機械を使用して、回転する切削刃を使って材料の表面を削り取る加工方法を指しています。
旋盤
回転する材料を刃物で削る機械。円筒形状の加工に適している。
ボール盤
穴あけ専用の工作機械。ドリルを取り付けて使用する。
フェイスミル
主に平面や平らな面を形成するために使われます。フェイスミルは、複数の刃を持ち、その刃が回転しながら金属表面を切削します。
エンドミル
外周面および、端面に切れ刃をもつシャンクタイプのフライスになります。平面、壁面、溝、ポケット形状、穴などを切削加工する場合に使います。
ドリル
ドリルは主に穴を掘るための工具を指します。回転する刃を対象物に押し当てることで削り取ります。
タップ
内部ねじを切るために使用されるものを指します。具体的には、金属やプラスチックなどの材料に内部ねじを切る際に使用されます。
ダイス
ダイスは、主に棒状の材料に対してネジ山を形成し、雄ねじを作ります。
ボーリング(中ぐり)
ドリルによって空けられた下穴に誤差0.05mm以内という高精度な穴加工をするときに用いる加工方法になります。
下穴
ネジ穴や高精度穴をあける前に工具の負荷を軽減させる目的でドリル等であける穴のことを指します。
送り速度
工具が被削材に対して切削加工する速さのことで単位はVfで表します。
周速
周速(しゅうそく)」は、回転する物体が一定の時間内に一周する速さを示す物理量です。一般的には、回転する円形の物体の周囲の距離を一定の時間で移動する速さを表します。
1刃送り
切削工具が1回切削する間にテーブルが何ミリ動くかを表しています。
切削抵抗
切削加工中に工具(切削工具)が材料に対して受ける抵抗のことを指します。切削抵抗が大きいと切削工具や機械に負荷がかかり、加工精度や工具寿命が低下する可能性があります。
切削加工
刃物を使って金属を削る加工方法。旋盤、フライス盤、ボール盤などがある。
研削加工
砥石を使って金属表面を削り、精度の高い仕上げを行う加工方法。
塑性加工
金属に力を加えて形を変える加工方法。鍛造、圧延、プレス加工などがある。
ウォータージェット加工
高圧の水流を使って金属を切断する方法。
レーザー加工
高精度なレーザーを使って金属を切断・溶接・彫刻などの加工を行う技術。
溶射
金属を高温で溶かして、対象物の表面に吹き付けてコーティングを施す方法。
エッチング
化学薬品を使って金属の表面に模様や文字を刻む方法。
プラズマ切断
高温のプラズマを用いて金属を切断する方法。
押出し
金属を型に押し出して、一定の断面形状を作る方法。
引き抜き加工
金属を型に通して、細長い部品を作る方法(例:ワイヤーやパイプ)。
ショットピーニング
金属表面に小さな金属粒子を衝突させて、応力を均等に分散させ、金属の強度を高める処理。
アップカット
切削工具が材料の表面を上方向に向かって切削する切削プロセスのことを指します。
ダウンカット
切削工具が材料の表面に向かって切削する切削プロセスのことを指します。切削工具の回転方向が材料表面に向かっているため、「ダウンカット」と呼ばれます。
黒皮(ミルスケール)
熱間圧延で作られた鋼板の表面を覆っている酸化皮膜のことです。鉄鋼業界では切削していない材料に対し使われています。
切り屑(キリコ)
金属や他の素材を加工する際に発生する、金属屑を指します。これらは切削や削り取り、穿孔などの加工プロセスによって生じます。
ミルシート
鋼材メーカーが発行する品質を証明する書類になります。材料証明書とも呼ばれています。
プレス金型
対となった金型の間に材料をはさみ、金型によって強い力を加えることで、材料を金型の形に成形する方法。生産性が高いことから大量生産に使われている。
鋼種
金属の種類のことを鋼種と呼んでいます。
鉄鋼
鉄を主成分とする合金。炭素量によって鋼(スチール)や鋳鉄(キャストアイアン)に分類される。
非鉄金属
鉄以外の金属(アルミニウム、銅、チタンなど)。
合金
2種類以上の金属を混ぜたもの。例: ステンレス鋼、黄銅(真鍮)、ジュラルミン。
工具鋼
工具鋼は、高い硬度、耐摩耗性、および耐蝕性を持つ鋼の一種です。これらの特性により、工具鋼は工具や金型などの高負荷および高摩耗の環境で使用される部品や工具の製造に適しています。
ステンレス鋼
鉄にクロムやニッケルを加えて錆びにくくした合金。
鍛造
金属をハンマー等で叩いて圧力を加えて変形させる手法で、古くから刃物や武具、金物などの製造技法として用いられている。金属を叩くことで内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高める。
鋳造
溶かした金属を型に流し込み、冷やして固める加工方法。
表面処理
金属の耐久性や美観を向上させるための処理。メッキ、アルマイト、塗装などがある。
焼き入れ
焼き入れは、金属加工における熱処理の一つであり、主に鋼などの金属を硬くするための手法です。焼き入れは、金属を高温に加熱してから急冷することで行われます。
焼戻し
焼き入れ後の硬化した金属を適切な硬度や耐久性に戻し粘りを出すための工程です。焼き入れ後の金属が極端に硬くなりすぎた場合や、過剰な応力が発生した場合などに行われます。
焼きなまし
金属を軟化させることで、曲がりや反り(応力)を防ぐために行う熱処理方法です。
サブゼロ処理
金属を低温で処理することにより、内部の結晶構造を変化させて、耐摩耗性や強度を高める方法。
応力
金属に加わる内部の力。引張応力や圧縮応力がある
硬度
材料の硬さを示す指標。ビッカース硬度(HV)、ロックウェル硬度(HRC)などがある。
引張強さ
材料が引っ張られたときに耐えられる最大の応力。
降伏点
材料が永久変形を始める応力。
延性
材料が引っ張られたときにどれだけ伸びるかを示す性質。
靱性
衝撃や負荷に耐える力。
耐摩耗性
擦れや摩擦による損傷への耐性。
耐熱性
高温環境での強度や形状維持能力。
耐食性
錆びや腐食に対する耐性。
被削性
切削加工のしやすさ。
展延性
板や線に伸ばしやすい性質。
圧延
ローラーで金属を薄く延ばす加工方法。
溶接
金属同士を熱や圧力で接合する加工方法。アーク溶接、TIG溶接、レーザー溶接などがある。
ビード
溶接時に形成される溶融金属の盛り上がり部分。
ヘリカル
回転しながら上昇するような三次元曲線を指しています。ヘリカル切削。
CNC
コンピューター数値制御の意味で、Computer Numerical Controlの略語になります。移動量、回転速度などを制御することにより自動で切削ができます
マシニングセンタ
中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工を連続で行えるNC工作機械
ATC
ATCは、Automatic Tool Changer(自動ツールチェンジャー)の略称で、工作機械に取り付けられた複数の切削工具や工具を自動的に交換する装置です。
Mコード
“Mコード” (M code) は、コンピュータ数値制御 (CNC) システムで使用される、機械の動作や機能を制御するためのコマンドです。CNCマシンのメーカーやモデルによって異なる場合があります。そのため、CNCプログラムを書く際には、対象となるCNCマシンのマニュアルを参照することが重要です。
コード | 機能 |
---|---|
M00 | プログラムストップ |
M01 | オプショナルストップ |
M02 | エンドオブプログラム |
M03 | 主軸時計方向回転 |
M04 | 主軸反時計方向回転 |
M05 | 主軸停止 ※1 |
M06 | 工具交換 |
M07 | クーラント2 |
M08 | クーラント1 |
M09 | クーラント停止 |
M10 | クランプ1 |
M11 | アンクランプ1 |
M13 | 主軸時計方向回転及びクーラント |
M14 | 主軸反時計方向回転及びクーラント |
M15 | 正方向運動 |
M16 | 負方向運動 |
M19 | 主軸オリエンテーション |
M30 | エンドオブデータ |
M31 | インターロックバイパス |
M36 | 送り範囲1 |
M37 | 送り範囲2 |
M38 | 主軸速度範囲1 |
M39 | 主軸速度範囲2 |
M40〜45 | 歯車選択 |
M48 | オーバーライド無視のキャンセル |
M49 | オーバーライド無視 |
M50 | クーラント3 |
M51 | クーラント4 |
M55 | 位置1への工具の直線シフト |
M56 | 位置2への工具の直線シフト |
M60 | 工作物交換 |
M61 | 位置1への工作物の直線シフト |
M62 | 位置2への工作物の直線シフト |
M68 | クランプ2 |
M69 | アンクランプ2 |
M71 | 位置1への工作物の旋回シフト |
M72 | 位置2への工作物の旋回シフト |
M78 | クランプ3 |
M79 | アンクランプ3 |
Gコード
Gコードは、コンピュータ数値制御(CNC)マシンで使用される、加工の動作を指示するための命令セットです。Gコードは、工作物の移動パスや切削条件などの動作を制御します。これは一連の英数字の形式を取り、各行に1つの命令が含まれます。
たとえば、G00は高速移動、G01は直線補間、G02は円弧補間を意味します。それぞれのGコードは、CNCマシンが行うべき特定の動作を指定します。また、Gコードは座標系の設定や工具変更、冷却液の制御なども指示します。
コード | 機能 |
---|---|
G00 | 位置決め |
G01 | 直線補間 |
G02 | 円弧補間/ヘリカル補間 CW |
G03 | 円弧補間/ヘリカル補間 CCW |
G02.2 | インボリュート補間 CW |
G03.2 | インボリュート補間 CWW |
G02.3 | 指数関数補間 CW |
G03.3 | 指数関数補間 CWW |
G04 | ドゥエル、イグザクトストップ |
G05 | 高速サイクル加工/高精度輪郭制御 |
G06.2 | NURBS補間 |
G07 | 仮想軸補間 |
G07.1 | 円筒補間 |
G08 | 先行制御 |
G09 | イグザクトストップ |
G10 | データ設定 |
G10.6 | 工具退避および復帰 |
G11 | データ設定モードキャンセル |
G12.1 | 極座標補間モード |
G13.1 | 極座標補間モードキャンセル |
G15 | 極座標指令キャンセル |
G16 | 極座標指令 |
G17 | XY平面 |
G18 | ZX平面 |
G19 | YZ平面 |
G20 | インチ入力 |
G21 | メトリック入力 |
G22 | ストアードストロークチェックオン |
G23 | ストアードストロークチェックオフ |
G25 | 主軸速度変動検出オフ |
G26 | 主軸速度変動検出オン |
G27 | リファレンス点復帰チェック |
G28 | リファレンス点への自動復帰 |
G29 | リファレンス点からの自動復帰 |
G30 | 第2、第3、第4リファレンス点復帰 |
G30.1 | フローティングリファレンス点復帰 |
G31 | スキップ機能 |
G33 | ねじ切り |
G37 | 工具長自動測定 |
G39 | コーナオフセット円弧補間 |
G40 | 工具径補正キャンセル |
G41 | 工具径補正左 |
G42 | 工具径補正右 |
G40.1 | 法線方向制御キャンセルモード |
G41.1 | 法線方向制御左オン |
G42.1 | 法線方向制御右オン |
G43 | 工具長補正+ |
G44 | 工具長補正− |
G45 | 工具位置オフセット 伸張 |
G46 | 工具位置オフセット 縮小 |
G47 | 工具位置オフセット 2倍伸張 |
G48 | 工具位置オフセット 2倍縮小 |
G49 | 工具長補正キャンセル |
G50 | スケーリングキャンセル |
G51 | スケーリング |
G50.1 | プログラマブルミラーイメージキャンセル |
G51.1 | プログラマブルミラーイメージ |
G52 | ローカル座標系設定 |
G53 | 機械座標系選択 |
G54 | ワーク座標系1選択 |
G54.1 | 追加ワーク座標選択 |
G55 | ワーク座標系2選択 |
G56 | ワーク座標系3選択 |
G57 | ワーク座標系4選択 |
G58 | ワーク座標系5選択 |
G59 | ワーク座標系6選択 |
G60 | 一方向位置決め |
G61 | イグザクトストップモード |
G62 | 自動コーナオーバライドモード |
G63 | タッピングモード |
G64 | 切削モード |
G65 | マクロ呼び出し |
G66 | マクロモーダル呼び出し |
G67 | マクロモーダル呼び出しキャンセル |
G68 | 座標回転 |
G69 | 座標回転キャンセル |
G72.1 | 回転コピー |
G72.2 | 平行コピー |
G73 | ペックドリリングサイクル |
G74 | 逆タッピングサイクル |
G75 | プランジ研削サイクル(0-GSC) |
G76 | ファインボーリングサイクル |
G77 | プランジ直接定寸研削サイクル(0-GSC) |
G78 | 連続送り平研削サイクル(0-GSC) |
G79 | 間欠送り平研削サイクル(0-GSC) |
G80 | 固定サイクルキャンセル/外部動作機能キャンセル |
G81 | ドリルサイクル、スポットボーリング/外部動作機能 |
G82 | ドリルサイクル、カウンターボーリングサイクル |
G83 | ペックドリリングサイクル |
G84 | タッピングサイクル |
G85 | ボーリングサイクル |
G86 | ボーリングサイクル |
G87 | バックボーリングサイクル |
G88 | ボーリングサイクル |
G89 | ボーリングサイクル |
G90 | アブソリュート指令 |
G91 | インクレメンタル指令 |
G92 | ワーク座標系の変更/主軸最高回転数クランプ |
G92.1 | ワーク座標プリセット |
G94 | 毎分送り |
G95 | 毎回転送り |
G96 | 周速一定制御 |
G97 | 周速一定制御キャンセル |
G98 | 固定サイクルイニシャルレベル復帰 |
G99 | 固定サイクルR点レベル復帰 |
G107 | 円筒補間 |
G150 | 法線方向制御キャンセルモード |
G151 | 法線方向制御左側オン |
G152 | 法線方向制御右側オン |
G160 | インフィード制御機能キャンセル |
G161 | インフィード制御機能 |
バイス
金属を加工する際に使用される工具の一つです。通常、工作機械や作業台に取り付けられ、金属の固定や保持を目的としています。金属加工バイスは、金属を安定して固定することで、安全かつ正確な加工作業を可能にします。
切削油
切削油は、金属加工の際に切削工具や工作機械に使用される潤滑剤の一種です。潤滑の他に、刃先の冷却効果、切り屑の排出効果もあります。
NCプログラム
NCプログラムは、コンピュータ数値制御(CNC)マシンで使用される命令のシーケンスです。これらの命令は、工作機械が自動的に操作される方法を指定します。NCプログラムは、通常、テキストファイルとして作成され、CNCマシンに読み込まれて実行されます。
ノギス
測定器具の一種で、主に寸法を測定するために使用される道具です。一般的には、金属製の尺のような形状をしており、寸法測定、深さ測定ができます。
マイクロメータ
マイクロメータは、非常に高い精度で長さや厚さを測定するための計測器です。0.01ミリメートル、またはそれ以下の非常に小さな単位で測定することができます。
3次元測定器
3次元測定器は、物体や部品の形状や寸法を測定するための装置です。物体の表面をタッチプローブや光学センサーで測定することができる装置で高精度の測定や複雑な形状の測定に使用されます。
公差
設計上許容される寸法の誤差範囲。
トレーサビリティー
トレーサビリティー(Traceability)は、製品やサービスの生産や供給の過程を追跡し、透明性を確保することを指します。これは、製品やサービスがどのように作られ、どのように供給され、どこから来たのかを追跡する能力を意味します。
ネジゲージ
ネジの寸法を測定するための道具です。一般的に、ネジの種類やサイズを確認するために使用されます。
栓ゲージ
穴の直径検査などに利用されるゲージです。 穴の許容差の最小寸法(通り)と最大寸法(止り)で合否を判定します。
シクネスゲージ(スキマゲージ)
隙間を寸法を計測するために使われるゲージになります。最小0.01の隙間を測ることができます。
CAD/CAM
CADCAMは、コンピュータ支援設計(CAD)とコンピュータ支援製造(CAM)の統合を指す用語です。CADは製品や部品の設計を行うための技術であり、CAMはその設計を基に製造プロセスを策定し、実際の加工のNCプログラムを吐き出します。
