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機械加工の基礎知識

機械加工

1. 機械加工の詳細

機械加工は、材料(通常は金属)を削る、切る、形を変えることで所定の形状や寸法を得るプロセスです。主に以下の手法に分かれます。

1.1 旋盤加工

旋盤加工は、回転する材料(ワーク)と固定された切削工具を使用して、円筒形や円錐形の部品を製作する方法です。基本的な操作には、以下があります。

  • 外径加工:ワークの外側を削る作業。
  • 内径加工:ワークの内側を削る作業。
  • ねじ切り:ワークにねじ山を作る作業。
  • 面取り・バリ取り:ワークの角を削って、バリ(不要な突起物)を取り除く作業。

旋盤の工作機械は非常に汎用性が高く、さまざまな形状に対応できます。

1.2 フライス加工

フライス盤を使用して行う加工で、回転する工具(フライスカッター)と固定されたワークを使って、平面、溝、複雑な形状を加工します。フライス加工の代表的な手法には以下が含まれます。

  • 平面フライス加工:ワークの表面を平らに仕上げる。
  • 縦型フライス加工:ワークの平面や溝を縦方向に削る。
  • 横型フライス加工:ワークの溝や溝を横方向に削る。
  • スロット加工:スロット(溝)や特殊な溝を加工する。

1.3 ボール盤・穴あけ加工

ボール盤やドリルを使用して、ワークに穴を開ける加工です。ドリルの種類には、以下があります。

  • センタードリル:ワークの中心を正確に決めるために使用。
  • コアドリル:深い穴を開ける際に使います。
  • リーマ:既存の穴を精度よく拡大するために使用。

穴あけ加工は一般的に、基準となる穴を最初に開けてから別の工程で仕上げることが多いです。

1.4 研削加工

研削加工は、非常に硬い材料を精密に削るために使われる方法です。主に研削盤を使い、砥石(研削工具)を回転させて材料を削ります。以下の研削方法があります。

  • 平面研削:平らな表面を削る。
  • 内面研削:内径を削る。
  • 外面研削:外径を削る。
  • 円筒研削:円筒状のワークを精度よく削る。

研削加工は非常に高精度な仕上がりを求められるため、最終仕上げに使われることが多いです。

1.5 放電加工(EDM)

放電加工は、金属に高圧の電流を使って微細な溶解を引き起こし、材料を削る加工法です。これにより、硬い金属や複雑な形状の加工が可能です。代表的なものには以下があります。

  • ワイヤー放電加工(WEDM):細い金属ワイヤーを使用して、高精度の溝や複雑な形状を切り出す。
  • 型放電加工:金型を使って精密な成形を行う。

2. 機械加工に使用される素材

素材には、主に以下のような種類があります。

  • 鋼(鉄系):最も一般的に使用される金属素材で、強度や耐久性に優れています。例えば、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼など。
  • アルミニウム:軽量で加工がしやすく、耐腐食性もあります。航空機や自動車部品によく使われます。
  • 銅合金:熱伝導性や電気伝導性に優れていますが、加工が難しいため、専門の工具が必要です。
  • チタン:非常に強くて軽い金属ですが、加工が難しく、特殊な工具を使用します。
  • プラスチック:柔らかく、軽量で絶縁性に優れているため、電子機器の部品に使用されます。

3. 切削条件の詳細

切削条件は加工の効率や仕上がりに大きな影響を与えます。以下は主要な切削条件です。

3.1 切削速度(V)

  • 切削速度は、工具がワークと接触する速度です。材料ごとに最適な切削速度が決まっており、それを超えると工具の摩耗が早くなり、仕上がりが悪化します。

3.2 送り速度(F)

  • 送り速度は、工具がワークの表面に対して移動する速度です。送り速度が速すぎると、加工精度が低下し、遅すぎると加工効率が悪くなります。

3.3 切り込み量(ap)

  • 一度に削る深さを指します。深すぎる切り込みをすると、工具の負荷が高まり、破損の原因になります。

4. 加工精度と仕上がり

機械加工では、高精度が求められます。加工精度は通常、寸法精度表面粗さに分けられます。

  • 寸法精度:加工後の部品の寸法が設計図通りかどうかを示します。
  • 表面粗さ:部品の表面が滑らかかどうかを示します。高精度な加工が要求される部品では、通常、研削加工や高精度の旋盤加工が行われます。

5. 冷却・潤滑

冷却液や潤滑剤は、切削中の熱や摩耗を抑えるために使用されます。冷却液は工具とワークを冷却し、摩擦を減らすことで、工具の寿命を延ばします。適切な冷却は加工精度にも影響します。冷却液には以下があります。

  • 水溶性冷却液:水に溶かして使うタイプ。コストが安く、汚れが少ない。
  • 油性冷却液:より高い冷却性能を持つが、取り扱いに注意が必要です。

6. 加工後の仕上げ

加工後、必要に応じて表面仕上げや熱処理を行います。仕上げは、部品の耐久性や外観、機能を高めるために重要です。熱処理には以下があります。

  • 焼き入れ:硬度を高めるための処理。
  • 焼き戻し:材料の硬度を調整する処理。
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