製造現場における高精度加工と効率的な品質管理は、競争力を左右する重要な要素になっています。特に近年、高精度な部品加工や複雑な形状の製造が求められる中で、マシニングセンタとタッチプローブを組み合わせた機上測定の活用されています。もちろん当社でも活用しています。
機上測定とは?
機上測定(On-machine Measurement:OMM)は、マシニングセンタ内に設置されたタッチプローブを使用して、加工が完了したワークの寸法・形状・位置を直接測定する技術です。
これにより、多くのメリットが得られ高品質体制の一つとして活用しています。
- 加工と測定の一体化による段取り削減
- リアルタイムな品質管理と不良品の早期発見
- 測定データを基にした加工補正による高精度な製品の安定供給
従来の測定方法との違い
項目 | 従来の測定(CMM使用) | 機上測定(マシニングセンタ+タッチプローブ) |
---|---|---|
測定場所 | 測定室などの外部設備 | マシニングセンタ内 |
段取り時間 | ワークの着脱、測定準備が必要 | 着脱不要、加工直後に測定可能 |
測定結果のフィードバック | 手動での加工補正 | 自動補正が可能 |
環境の影響 | 温度差による誤差が発生 | 同一環境内での測定で誤差を抑制 |
従来のCMM(座標測定機)を用いた測定では、ワークを一旦取り外して測定室へ移動し、測定後に結果をフィードバックするという手間がかかっていました。一方、機上測定では、マシニングセンタ内で加工が完了した時点で測定を実施するため、段取り時間の短縮や測定結果を即座に反映した加工補正が可能となります。
タッチプローブの種類と特徴
1. 接触式タッチプローブ
接触式タッチプローブは、機械的にワークに触れて位置情報を取得します。
- 特徴:高い測定精度(1μm以下)を実現
- 用途:寸法測定、位置確認、形状確認
- 注意点:測定速度は比較的遅いため、大量の測定ポイントには不向き
2. レーザー式タッチプローブ
レーザー式タッチプローブは、非接触でワーク表面をスキャンします。
- 特徴:高速スキャンが可能で、形状の複雑なワークに有効
- 用途:表面形状のスキャン、3Dモデルの作成
- 注意点:光の反射に影響されやすく、反射率の高い素材には工夫が必要
機上測定のワークフロー
- 加工プログラムの実行
- マシニングセンタでワークを加工
- タッチプローブによる機上測定
- 加工が完了したワークを取り外さずにその場で測定
- 測定データの取得
- 寸法、形状、位置のデータを高精度に取得
- 測定データの解析と判定
- 取得したデータをCADデータや設計図と比較
- 公差内であるかを自動判定
- 自動補正・再加工
- 必要に応じて加工プログラムを自動補正し、再加工を実行
導入時のポイント
1. プログラムの最適化
- 加工プログラムと測定プログラムを連携させることで、スムーズな加工・測定の自動化が実現できます。
- CAMソフトを用いて、測定ポイントの自動生成や、測定結果に基づく加工補正を効率化することが重要です。
2. 環境管理
- マシニングセンタ内の温度変化が測定精度に影響を与えるため、
- 温度管理
- 振動対策
- 湿度管理
などの環境整備が必要です。
3. 定期的なキャリブレーション
- タッチプローブの測定精度を長期間維持するため、定期的な校正が必要です。
- 校正用マスター(基準球や基準ブロック)を用いて、精度確認を行いましょう。
導入事例
1. 精密金型加工メーカーA社
- 課題:高精度金型部品の加工後、CMMでの測定に時間がかかっていた。
- 導入後の効果:機上測定を導入し、段取り時間が50%削減。加工後すぐに品質確認ができるようになり、納期短縮を実現。
2. 自動車部品メーカーB社
- 課題:大量生産ラインでの品質管理において、不良品の流出が問題となっていた。
- 導入後の効果:リアルタイムな品質確認により、不良品の流出をゼロに。自動補正機能の活用で、加工精度の安定化を達成。
まとめ
マシニングセンタとタッチプローブを組み合わせた機上測定は、
- 高精度な加工
- 段取り時間の短縮
- リアルタイムな品質管理
- 自動補正による生産性向上
を可能にする、次世代の加工・測定統合システムです。
特に高精度部品や量産品において、その効果は絶大です!ぜひ活用していましょう!