切削加工時間の詳細な計算方法
切削加工時間は、加工の種類(旋削、フライス加工、穴あけなど)によって計算方法が異なります。ここでは、それぞれの計算方法を詳しく解説します。
1. 旋削加工時間の計算
(1) 旋削加工時間の基本式
旋削加工時間 T(分)は以下の式で求めます。
T=L➗(f×NL)
各変数の説明
- L :切削長さ(mm)
- f :送り量(mm/rev)
- N :主軸回転数(rpm)
主軸回転数の計算式
主軸回転数 Nは、切削速度 Vを用いて以下の式で求めます。
N=(1000×V)➗(π×D)
- V:切削速度(m/min)
- D:被削材の直径(mm)
2) 旋削加工時間の具体例
条件:
- 切削速度 V=120 m/min
- 被削材の直径 D=60 mm
- 送り量 f=0.3 mm/rev
- 切削長さ L=200 mm
① 主軸回転数 N の計算
N=(1000×120)➗(π×60)=637.5 rpm
② 加工時間 T の計算
T=200➗(0.3×637.5)=1.045 分
したがって、この旋削加工の所要時間は 約1.05分 となります。
2. フライス加工時間の計算
(1) フライス加工時間の基本式
フライス加工時間 T は以下の式で求めます。
T=L➗(ft×Z×N)
各変数の説明
- L :切削長さ(mm)
- ft :1刃あたりの送り量(mm/tooth)
- Z :刃数(本)
- N :主軸回転数(rpm)
主軸回転数の計算式
N=(1000×V)➗(π×D)
- V :切削速度(m/min)
- D :工具の直径(mm)
(2) フライス加工時間の具体例
条件:
- 切削速度 V=150 m/min
- 工具直径 D=20 mm
- 1刃あたりの送り量 ft=0.08 mm/tooth
- 刃数 Z=4
- 切削長さ L=500 mm
① 主軸回転数 N の計算
N=(1000×150)➗(π×20)=2387.3 rpm
② 加工時間 T の計算
T=500➗(0.08×4×2387.3)T=0.654 分
したがって、このフライス加工の所要時間は 約0.65分 となります。
3. 穴あけ(ドリル加工)時間の計算
(1) ドリル加工時間の基本式
ドリル加工時間 T(分)は以下の式で求めます。
T=L➗(f×N)
各変数の説明
- L :穴あけ深さ(mm)
- f :送り量(mm/rev)
- N :主軸回転数(rpm)
主軸回転数の計算式
N=(1000×V)➗(π×D)
- V :切削速度(m/min)
- D :ドリルの直径(mm)
(2) ドリル加工時間の具体例
条件:
- 切削速度 V=80 m/min
- ドリル径 D=10 mm
- 送り量 f=0.2 mm/rev
- 穴あけ深さ L=30 mm
① 主軸回転数 N の計算
N=(1000×80)➗(π×10)=2547.8 rpm
② 加工時間 T の計算
T=30➗(0.2×2547.8)=0.059 分
したがって、このドリル加工の所要時間は 約0.06分(約3.5秒) となります。
まとめ
これらの計算を活用すれば、適切な切削条件を設定し、加工時間を正確に見積もることができます。
