マシニングセンタでタップ加工を行う際には、精度を確保しつつ工具寿命を延ばすための工夫が必要です。以下に重要なポイントをまとめます。
1. 下穴加工の適正化
🔹 下穴径の選定
- 適切な下穴径を確保しないと、タップの負担が増えて破損の原因になる。
- 一般的に「ネジ外径 − ピッチ」が目安。
- 例:M6×1.0 の場合 → 下穴径 Ø5.0mm
🔹 下穴の精度
- ドリル加工後にリーマ仕上げすると、より精度の高いネジ穴が作れる。
- 深い穴の場合、段付きドリルやガンドリルを使い、曲がりを防止する。
2. タップの選定
🔹 タップの種類を使い分ける
種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
ハンドタップ | 一般的なタップ | 手作業や汎用加工機向け |
スパイラルタップ | 切りくずを上に排出 | 止まり穴用(深さがある場合) |
ポイントタップ | 切りくずを前方に排出 | 貫通穴用 |
ロールタップ | 切削せず塑性変形でねじ成形 | アルミ・軟鋼・SUSなど |
- 止まり穴はスパイラルタップ、貫通穴はポイントタップが基本。
- ロールタップは切りくずが出ないため、タップ折れを防げる。
3. 回転速度と送り(切削条件)
🔹 推奨回転速度の目安
材質 | 回転数 (rpm) の目安 | 切削油 |
---|---|---|
アルミ | 800~1,500 | あり |
軟鋼 (SS400) | 500~1,000 | あり |
炭素鋼 (S45C) | 300~800 | あり |
ステンレス (SUS304) | 200~500 | あり |
- 目安として カッターピッチ = 送り(ミリ単位)を設定する。
- 例:M6×1.0 → 送り 1.0mm/rev
🔹 逆回転(リバース)の設定
- タップ加工後、逆回転でタップを抜く。過剰な送り補正をしないよう注意。
4. クーラント(切削油)の管理
- タップ加工では潤滑性が重要。摩擦が減り、工具寿命が延びる。
- 水溶性切削油(一般用途) vs 油性切削油(高精度ネジ向け)。
- ステンレスや硬質材には、極圧剤入りの切削油を使用すると効果的。
5. タップ折れ対策
タップ折れはトラブルの原因!以下の点をチェック👇
✅ 切削条件を適切に設定(過大な負荷をかけない)
✅ 定期的なタップ交換(摩耗したタップは折れやすい)
✅ 切削油の適正管理(潤滑不足は摩擦増大の原因)
✅ タップの芯ずれ防止(ホルダーを適切に調整)
6. CNCプログラムの注意点
タップ加工用Gコード(例:M6×1.0の場合)
gcodeコピーする編集するG98 G84 Z-10.0 R2.0 F1.0 S500
G98
:初期送り設定G84
:タップサイクルZ-10.0
:タップの深さR2.0
:リトラクト(戻り位置)F1.0
:送り(ピッチに合わせる)S500
:回転数
ポイント
- 下穴ドリルのGコードと連携
- タップホルダーの剛性を確認
- 高精度が必要ならサーボリジッドタッピングを使用
まとめ
🔹 下穴加工の精度を上げる
🔹 適切なタップを選定する(止まり穴 or 貫通穴)
🔹 適切な回転数と送りを設定する
🔹 切削油を活用し工具寿命を延ばす
🔹 プログラム設定を正確にする
タップ加工は工具の選定・切削条件の最適化が重要です!
適切な設定を行い、タップ折れを防いで高精度なネジ加工を実現しましょう。
