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徹底解説!!NCプログラムを読む!

NCプログラム

NC(Numerical Control、数値制御)プログラムは、工作機械(例えば旋盤やフライス盤など)を制御して加工を行うためのプログラムです。これらのプログラムは、工作機械がどのように動作し、どのような加工を行うかを指示する命令群です。

NCプログラムを読む際の基本的なポイントは以下の通りです。

  1. 命令セットの理解: NCプログラムは、工作機械の動作や加工パスを命令で記述します。命令セットを理解することが重要です。一般的な命令には、移動(移動速度や位置指定)、加工(切削条件、工具の選択)、停止などがあります。
  2. 座標系の理解: NCプログラムでは、機械の動作座標系や加工寸法を理解する必要があります。座標系の原点、正の方向、加工範囲などを把握することがプログラムの正確な読解につながります。
  3. ループや条件分岐の処理: より複雑なNCプログラムでは、ループや条件分岐(例えば、複数の工具での加工切り替えなど)が使われることがあります。これらを正確に理解して読むことが必要です。
  4. 安全性と効率性: NCプログラムは、安全に加工を行うための条件や機械のパラメータを含んでいます。これらを確認し、プログラムの安全性と効率性を確保することが重要です。
  5. コメントやドキュメントの利用: NCプログラムには、時にコメントやドキュメントが付けられていることがあります。これらを読むことで、プログラムの意図や特定の加工条件を理解しやすくなります。

NCプログラムを読む際には、プログラムの目的や工作機械の種類に応じて適切な知識が必要です。慣れないうちは、実際の機械や加工プロセスとプログラムを見比べながら学ぶと効果的です。

NCプログラムの基本要素

  1. プログラム番号と初期設定
    • プログラム番号の定義(O番号)
    • 座標系の設定(Gコード)
    • 単位の設定(G20: インチ、G21: ミリメートル)
    • ツールの選択(Tコード)
  2. 加工動作の指示
    • 移動指示(G00: 高速移動、G01: 直線補間、G02/G03: 円弧補間)
    • 回転軸の制御(A軸、B軸など)
    • 主軸回転速度の設定(Sコード)
    • 主軸のオン/オフ(Mコード)
  3. 加工条件の設定
    • フィードレートの設定(Fコード)
    • ツールオフセットの設定(G43/G44/G49)
    • 冷却液のオン/オフ(M08/M09)
  4. プログラムの制御
    • サブルーチンの呼び出し(M98、M99)
    • プログラムの停止(M01、M02、M30)

Gコード、Mコードはこちらの記事に詳細が書かれています。

旋盤のNCプログラム例

NCプログラムの具体的な例を示します。以下は、簡単な旋盤のNCプログラムの一例です。

O0001 (プログラム番号)
N0010 G00 G17 G40 G21 G54 (初期設定)
N0020 M03 S500 (主軸回転開始、回転速度500rpm)
N0030 G00 X50 Z5 (X50、Z5の位置へ高速移動)
N0040 G01 Z-10 F100 (Z軸方向に100mm/minで加工開始)
N0050 G01 X10 F200 (X軸方向に200mm/minで加工続行)
N0060 G01 Z-20 F100 (Z軸方向に100mm/minで加工続行)
N0070 G00 X50 Z5 (X50、Z5の位置へ高速移動、加工終了)
N0080 M05 (主軸停止)
N0090 M30 (プログラム終了)

この例では、基本的なGコード(動作指令)とMコード(機能指令)を使用しています。NCプログラムは、具体的な加工条件や動作手順を記述するためのものであり、加工機械がこれらの命令を解釈して動作します。

ネジ切りプログラム

O0001 (プログラム番号)
N0010 G17 G20 G40 G80 G90 (XY平面、インチ単位、キャンセル、加工終了、絶対座標系)
N0020 T0101 (ツール1の選択)
N0030 G00 G54 X1.0 Z0.1 (工具交換後の原点への高速移動、Z方向オフセット0.1)
N0040 S1000 M03 (主軸回転開始、回転速度1000rpm)
N0050 G84 G98 Z-0.8 R0.1 F0.01 (内部ねじ切りサイクル開始、Z軸方向に0.8インチの深さ、0.01インチ/回転の送り速度、R0.1はリトラクト距離)
N0060 X1.0 (X軸方向に移動)
N0070 G80 (ねじ切りサイクル終了)
N0080 G00 Z1.0 (Z1.0の位置へ高速移動)
N0090 X2.0 (X2.0の位置へ移動)
N0100 M05 (主軸停止)
N0110 M30 (プログラム終了)

このプログラムは、基本的な内部ねじ切りの操作を示しています。実際の加工条件やツールに応じて、速度や深さなどのパラメータを適切に調整する必要があります。

マシニングセンタのNCプログラム例

マシニングセンター(フライス盤)でのNCプログラムの例です。この例では、複数の工具を使用した加工と切削条件の設定が含まれています。

O0001 (プログラム番号)
N0010 G17 G20 G40 G49 G80 G90 (初期設定)
N0020 T1 M06 (工具1の選択)
N0030 G00 G90 G54 X0 Y0 (工具交換後の原点への移動)
N0040 S500 M03 (主軸回転開始、回転速度500rpm)
N0050 G43 H01 Z1.0 M08 (ツールオフセットの設定、Z方向オフセット1.0、冷却液オン)
N0060 G01 Z-0.5 F50.0 (Z軸方向に50.0mm/minで加工開始)
N0070 X1.0 Y1.0 (X1.0、Y1.0の位置へ移動)
N0080 Z-1.0 F25.0 (Z軸方向に25.0mm/minで加工続行)
N0090 G00 Z1.0 (高速でZ1.0の位置へ移動)
N0100 X0 Y0 (原点へ移動)
N0110 M05 M09 (主軸停止、冷却液オフ)
N0120 T2 M06 (工具2の選択)
N0130 G00 G90 G54 X0 Y0 (工具交換後の原点への移動)
N0140 S1000 M03 (主軸回転開始、回転速度1000rpm)
N0150 G43 H02 Z1.5 M08 (ツールオフセットの設定、Z方向オフセット1.5、冷却液オン)
N0160 G01 Z-1.0 F50.0 (Z軸方向に50.0mm/minで加工開始)
N0170 X2.0 Y2.0 (X2.0、Y2.0の位置へ移動)
N0180 Z-2.0 F25.0 (Z軸方向に25.0mm/minで加工続行)
N0190 G00 Z1.0 (高速でZ1.0の位置へ移動)
N0200 X0 Y0 (原点へ移動)
N0210 M05 M09 (主軸停止、冷却液オフ)
N0220 M30 (プログラム終了)

ヘリカル切削NCプログラム例

O0001 (プログラム番号)
N0010 G17 G20 G40 G80 G90 (XY平面、インチ単位、キャンセル、加工終了、絶対座標系)
N0020 T0101 (ツール1の選択)
N0030 G00 G54 X1.0 Z0.1 (工具交換後の原点への高速移動、Z方向オフセット0.1)
N0040 S1000 M03 (主軸回転開始、回転速度1000rpm)
N0050 G71 G94 (ヘリカル切削サイクル開始、モード:G71、送り速度:G94)
N0060 G01 X0.5 Z-0.8 F0.01 (X0.5、Z軸方向に0.8インチの深さ、0.01インチ/回転の送り速度で加工開始)
N0070 X0.0 (X軸方向に移動)
N0080 G00 Z1.0 (Z1.0の位置へ高速移動)
N0090 X2.0 (X2.0の位置へ移動)
N0100 M05 (主軸停止)
N0110 M30 (プログラム終了)

この例では、外部ねじ切りを行うための基本的な操作を示しています。実際の加工条件やツールに応じて、適切な切削速度や深さを設定する必要があります。

ドリルのNCプログラム例

O0001 (プログラム番号)
N0010 G17 G20 G40 G80 G90 (XY平面、インチ単位、キャンセル、加工終了、絶対座標系)
N0020 T0101 (ツール1の選択)
N0030 G00 G54 X1.0 Y1.0 Z0.1 (工具交換後の原点への高速移動、Z方向オフセット0.1)
N0040 S1000 M03 (主軸回転開始、回転速度1000rpm)
N0050 G43 H01 Z0.1 M08 (ツールオフセットの設定、Z方向オフセット0.1、冷却液オン)
N0060 G81 X2.0 Y2.0 Z-1.0 R0.1 F10.0 (ドリルサイクル開始、X2.0 Y2.0の位置に穴を10.0インチ/分で加工、深さはZ-1.0、R0.1はリトラクト距離)
N0070 G80 (ドリルサイクル終了)
N0080 G00 Z1.0 (Z1.0の位置へ高速移動)
N0090 X0 Y0 (原点へ移動)
N0100 M05 (主軸停止)
N0110 M30 (プログラム終了)

ネジ切り加工プログラム例

O5000 (THREAD TAPPING)
N0010 G21
N0020 G90
N0030 G17
N0040 G0 X50 Y50 Z10
N0050 S500 M3
N0060 G84 X50 Y50 Z-10 R2 F50 (タッピングサイクル)
N0070 G0 Z10
N0080 M30

ポケット加工のプログラム例

O4000 (POCKET MILLING)
N0010
G21
N0020 G90
N0030 G17
N0040 G0 X30 Y30 Z10
N0050 S1200 M3
N0060 G1 Z-2 F150
N0070 G1 X80 Y30 (X方向に直線切削)
N0080 G1 Y80 (Y方向に直線切削)
N0090 G1 X30 (X戻り)
N0100 G1 Y30 (Y戻り)
N0110 G0 Z10
N0120 M30

円弧加工のプログラム例

O3000 (ARC CUTTING)
N0010 G21
N0020 G90
N0030 G17
N0040 G0 X50 Y50 Z10
N0050 S1000 M3
N0060 G0 X50 Y50
N0070 1 Z-5 F100
N0080 G2 X100 Y100 I25 J25 F200 (時計回りの円弧加工)
N0090 G1 Z10
N0100 M30

5軸マシニングセンタのNCプログラム例

5軸マシニングセンタでのNCプログラムの例を以下に示します。この例では、XYZ軸とA軸(回転)およびB軸(回転)を使用して、複雑な形状の加工を行うプログラムです。

O0001 (プログラム番号)
N0010 G17 G21 G90 G54 (初期設定、XY平面、ミリメートル単位、絶対座標系)
N0020 M06 T1 (工具1の選択)
N0030 G00 G43 H1 Z100.0 (Z軸方向に100mmまで移動、ツールオフセット1の設定)
N0040 G00 X0 Y0 (XY平面の原点へ高速移動)
N0050 A0 B0 (A軸とB軸の角度を0度にセット)
N0060 M01 (オプションストップ、確認のために停止)
N0070 G01 A45.0 B30.0 F500.0 (A軸45度、B軸30度に向かって500mm/minで移動)
N0080 X50.0 Y20.0 Z-10.0 (XYZ軸に対して指定された位置に移動)
N0090 A90.0 B0.0 (A軸90度、B軸0度に回転)
N0100 G02 X70.0 Y0.0 Z-20.0 I20.0 J0.0 F300.0 (円弧加工、中心座標(70, 0)、半径20mm、300mm/min)
N0110 G01 X50.0 Y20.0 Z-30.0 F500.0 (直線加工、500mm/minで指定された位置へ移動)
N0120 G00 X0 Y0 Z100.0 (原点へ高速移動)
N0130 M05 (主軸停止)
N0140 M30 (プログラム終了)

このように、5軸マシニングセンタではXYZ軸に加えて回転するA軸とB軸を制御し、複雑な形状の加工が可能です。それぞれの動作に対応するGコードやMコードを正確に理解し、適切にプログラムすることが重要です。

NCプログラムの利用と重要性

  • 精度と効率: NCプログラムは、人の手で行うよりも高い精度で加工を行うことができます。また、複雑な形状の加工や繰り返し作業を自動化し、効率的に行うことができます。
  • 柔軟性と変更容易性: 加工条件や加工対象の変更に対応しやすく、柔軟に生産ラインを運用できる点が利点です。
  • プログラミングの必要性: CNCマシンの操作には、NCプログラミングの知識と技能が必要です。正確なプログラムの作成が加工品質に直結するため、プログラマーのスキルが重要です。

NCプログラムは、製造業において広く使用され、工作機械の自動化と生産性の向上に寄与しています。

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