SS材は、一般構造用圧延鋼材と言われるもので幅広い用途で使われています。
強度が高く、機械的性質が安定しているので建築、造船、橋梁、自動車、機械など、さまざまな産業で利用されています。
鋼材に含まれる炭素の量が、0.15~0.2%の低炭素の軟鋼で、含有不純物はリンと硫黄の含有量を0.05%以内と定義されていますが、他の基準はありません。
当社にいただける仕事の中で1番多いのが金型のダイセット等になりますが、汎用性は非常に高い鋼材でもありますが、錆に弱い特性があるので、塗装や油塗布などで処理をすることをお勧めいたします。
SS材は鋼板・形鋼・平鋼・棒鋼などさまざまな形状で流通しており、安価で汎用材が高い材料として知られています。
SS材は多機能な鋼材の代表格
SS材は、一般的に用いられる鋼材の中でも特にポピュラーなものの一つです。今回はその特性や用途について掘り下げてみます。
SS材は、日本工業規格(JIS)における一般構造用圧延鋼材の代表的なグレードの一つです。そしてこの鋼材は、その優れた特性と多様な用途から、建築や製造業界を中心に広く活用されています。
安価でありながら耐久性に優れているため、大量生産が求められる製品やプロジェクトで特に重宝されています。
耐久性と安定性
SS材は、長期間にわたって安定した性能を維持することができます。そのため、屋外や高温、高湿度の環境においても、変形や劣化を抑制し、構造物の耐久性を確保することができます。また、耐摩耗性にも優れているため、機械部品などで軽く摩擦を伴う部位にも適しています。
経済性と持続可能性
SS材は、その比較的低コストと高い性能から、経済的な選択肢としても注目されています。また、リサイクルが可能であり、資源の有効活用にも貢献しています。これにより、製造業や建設業界において、持続可能なプラクティスを実践する上で重要な役割を果たしています。
切断、溶接、曲げ加工が簡単で、加工コストの削減に繋がりばかりか、長寿命で経済的!!
また、リサイクルが容易で、廃材から新しい鋼材を生産することが可能です。これにより、資源の有効活用にも貢献できます。
未来への展望
SS材は、その優れた特性と幅広い用途から、現代産業において不可欠な鋼材の一つとして位置づけられています。今後も、技術革新や持続可能な製造プロセスの推進によって、その重要性はますます高まることが期待されます。SS材は、私たちの生活と産業の基盤を支える重要な素材の一つであり、これからもその価値がさらに発揮されることでしょう。
SS材のデメリット
SS材には多くの利点がありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。以下に、その主なデメリットをいくつか挙げてみます。
- 強度の制約
SS材は一般的に低炭素鋼であり、比較的低い強度を持ちます。そのため、一部の高強度を要求される用途には適していない場合があります。高い耐力や耐摩耗性が求められる場合には、他の鋼材が選択されることがあります。 - 耐食性の限界
SS材は耐食性に優れるステンレス鋼ではなく、通常の炭素鋼です。そのため、特に酸や塩基による腐食や錆びに弱いです。屋外や高湿度の環境下での使用には注意が必要であり、適切な防食処理が必要となります。 - 溶接時の注意
SS材は溶接性が良いとされていますが、溶接時には適切な溶接条件や技術が必要です。不適切な溶接は溶接部の強度を低下させたり、ひび割れの原因となる可能性があります。そのため、溶接工程においては高度な技術と注意が求められます。 - 再利用性の制約
SS材はリサイクルが可能な鋼材ですが、再利用時には鋼材の品質や特性の劣化が懸念されます。特に、溶接などの加工が行われた部品や構造物は、再利用時の品質管理に注意が必要です。
これらのデメリットは、SS材を適切に使用する際に考慮すべき点です。その特性や制約を理解し、適切な使用法や加工方法を選択することで、SS材の利点を最大限に活かすことができます。
SS材の用途
SS材は、その優れた加工性と一般的な構造用途に適した特性から、さまざまな産業で広く使用されています。以下に、SS材の代表的な用途をいくつか挙げてみます。
- 建築構造物
SS材は建築業界で非常に一般的に使用されています。構造用鋼材や柱、梁、鉄骨などの部品に利用され、建築物の耐久性や安定性を確保します。また、その加工性と強度から、建築プロジェクトでの様々な部品やアクセサリーにも使用されます。 - 自動車部品
自動車産業では、SS材が車体やシャーシの構造部品、エンジン部品などの製造に広く使用されています。その強度と加工性から、軽自動車から商用車まで、さまざまな種類の車両に利用されています。 - 機械部品
機械製造業界では、SS材がギヤ、軸受、歯車、軸などの機械部品の製造に使用されています。その加工性と耐久性から、様々な産業の機械や装置の部品として重宝されています。 - 建築資材
SS材は建築資材としても広く使用されています。鉄骨や鋼板、管材などの製造に利用され、建築現場での構造物の建設に欠かせない素材となっています。 - 船舶構造
船舶産業でも、SS材は船体や構造物の製造に使用されています。その耐久性と加工性から、船舶のハルや構造部品、船内設備などに広く使用されています。
SS材の規格
SS材にはJIS規格ではSS330、SS400、SS490、SS540の4品種がありますので以下に規格を示します。
種類の記号 | 旧記号(参考) | 化学成分(%) | 降伏点または耐力 | 引張り強さ | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
C | Mn | P | S | N/㎟ | N/㎟ | ||
SS330 | SS34 | ー | ー | 0.050以下 | 0.050以下 | 205以上 | 330~430 |
SS400 | SS41 | ー | ー | 0.050以下 | 0.050以下 | 245以上 | 400~510 |
SS490 | SS50 | ー | ー | 0.050以下 | 0.050以下 | 285以上 | 490~610 |
SS540 | SS55 | 0.30以下 | 1.60以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 400以上 | 以上 |
当社が取り扱っているSS材のメーカーは以下のようになっています。
中部鋼鈑株式会社
住所: 愛知県名古屋市中川区小碓通五丁目1番地
ホームページ:https://www.chubukohan.co.jp
JFEスチール株式会社
住所: 東京都千代田区内幸町二丁目2番3号
ホームページ:https://www.jfe-steel.co.jp/products/building/shapes/jis_h.html
日鉄スチール株式会社
住所:和歌山市湊1850
ホームページ:https://www.shapes.nipponsteel.com
当社で使用するSS材は100%SS400材になります。
SS材の切削(加工上の注意点)
- バリの発生
SS材は柔らかいため、切削時にバリが発生しやすいです。加工後のバリ取り工程を考慮します。 - 熱変形
高速切削を行うと熱が発生し、材質が変形する場合があります。適切な冷却対策が必要です。 - 工具摩耗
SS材の切削では摩耗が比較的少ないものの、加工条件や加工時間が長い場合、工具寿命に影響が出ます。
SS材の切削は比較的容易ですが、加工条件の最適化や適切な工具の選定により、効率と仕上げ品質を向上させることができます。特に大量生産や高精度が求められる場合は、切削パラメータを細かく調整することが成功の鍵です。