ガルバニック腐食とは?異種金属接触による腐食メカニズムを徹底解説

金属材料の基礎知識

金属製品の設計・施工において、腐食は避けて通れない重要な課題です。中でも「ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)」は、異なる金属材料を組み合わせた場合に予期せず発生することがあり、機械部品や建築構造物に深刻なダメージを与える要因となります。

今日は、ガルバニック腐食の原理、影響要因、実例、防止策を詳しく解説します。

ガルバニック腐食とは何か?

ガルバニック腐食とは、異なる金属材料が電解質(湿気・雨水・海水など)を介して電気的に接触したときに、一方の金属が腐食していく現象を指します。

これは、ガルバニ電池の原理と同じで、電気化学的な反応によって自然に「微弱な電流」が流れることで、一方の金属がイオン化して溶解し、腐食が進行します。

ガルバニ電池との関係

1770年代に発見されたガルバニ電池は、異なる金属を電解質中で接触させて電流を得るものでした。ガルバニック腐食は、まさにその逆作用として、金属間で生じる電位差が「腐食の駆動力」となってしまう現象です。

腐食のメカニズム:なぜ異種金属で腐食が進むのか?

金属にはそれぞれ電気化学的な貴賤(腐食しにくさ・しやすさ)があります。これを標準電極電位(または腐食電位)と呼びます。

電位差による電子の移動

異なる金属が接触し、電解質中に存在すると、貴な金属(腐食しにくい金属)がカソード(陰極)、卑な金属(腐食しやすい金属)がアノード(陽極)として作用し、アノード側の金属が溶解していきます。

  • ステンレス鋼アルミニウムを接触させた場合、アルミニウムがアノードとなって腐食する。

腐食が進行する条件(3要素)

以下の3つの条件がすべてそろったとき、ガルバニック腐食が発生します

要素説明
① 異なる金属の接触電位差のある金属同士が電気的に接触している
② 電解質の存在雨水・湿気・海水・結露などが、電流の通路(イオンの橋渡し)となる
③ 導通経路金属間に電子が移動できる経路があり、電気的に導通している

これらがそろわなければ、理論上は腐食は発生しません。

よく使われる金属の電位差リスト(抜粋)

金属材料標準電位(概算、V)備考
マグネシウム-2.37非常に腐食しやすい
亜鉛-0.76犠牲陽極に使われることが多い
アルミニウム-1.66軽量で腐食しやすい
鉄(軟鋼)-0.44構造材に多用される
+0.34電気伝導性が高く、比較的安定
ステンレス(SUS304)+0.60耐食性が高く貴な金属

電位差が大きいほど、ガルバニック腐食が進行しやすくなります。

ガルバニック腐食の実例

例1:ステンレス製ボルトとアルミ部材(建築外装)

ステンレスは電位が高く腐食しにくいため、接触したアルミ側に腐食が集中し、ピッティングや孔食が進行。

例2:銅配管と鉄管の接続(住宅配管)

銅が鉄より貴な金属であるため、鉄側の腐食が早まり、配管の漏水トラブルに。

例3:ボートのアルミ船体と真鍮部品(海水環境)

アルミ船体が腐食し、構造的に危険な状態に。犠牲陽極の未設置が原因

ガルバニック腐食のリスクと影響

  • 構造材の早期劣化(機械強度の低下)
  • 漏電・接触不良(電気接点の腐食)
  • 外観の悪化(腐食による変色や穴あき)
  • 安全性の低下(配管破損や構造崩壊)
  • メンテナンスコストの増加(早期交換・修理)

ガルバニック腐食の防止策:設計・施工段階での対処

電位の近い金属を選定する

例:アルミとステンレスではなく、アルミと亜鉛合金などの組み合わせを選ぶ。

絶縁材の使用

異種金属の間に絶縁ワッシャー、ゴムガスケット、プラスチックブッシュなどを挿入して、電気的接触を断つ。

防錆・コーティング処理

  • 塗装・陽極酸化処理・電着塗装
  • 金属の表面を電解質から遮断
  • 注意:コーティングが片方だけ損傷すると逆効果になることもある(カソード保護の影響)

犠牲陽極の設置

腐食しても問題のない金属(例:亜鉛)を犠牲陽極として設置し、他の金属を守る。

接触面積の最適化

アノード(金属が溶ける側)の面積を大きく、カソード(金属が保護される側)を小さくすることで、腐食の進行を遅らせる。

ガルバニック腐食の診断とモニタリング

実際の現場では、以下のような方法で腐食進行の把握が行われます。

  • 電位測定(ボルテスト)
  • 腐食速度のモニタリング(カップル電流測定)
  • 定期的な目視点検
  • 非破壊検査(超音波、X線など)

まとめ:設計時から意識すべき腐食対策

ガルバニック腐食は、材料選定の段階で防げる腐食です。特に、湿気・海水・雨水が存在する環境では要注意。

設計者・施工者は以下の点を常に意識しましょう。

  • 金属の電位差を確認する
  • 異種金属の直接接触を避ける
  • 防錆処理や絶縁措置を確実に行う
  • 犠牲陽極などの保護システムを適用する

適切な知識と配慮で、製品や構造物の寿命

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