初心者から学ぼう切削加工条件の求め方

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切削加工条件とは

切削加工条件とは、工作物を所望の形状に削り取るための切削プロセスにおいて、切削速度、送り速度、切り込み深さ、切削刃具の種類など、加工に必要な各種パラメータや条件のことを指します。これらの条件は、加工材料の種類、加工する形状、加工精度、加工機械の性能などによって異なります。切削加工条件は、適切に設定されることで加工効率を向上させ、加工品質を確保するのに役立ちます。

切削速度

切削速度は、切削工具が加工物の表面を通過する速度を表します。一般的に、切削速度は以下の式で求めることができます。

切削速度 (Vc)=切削工具の直径 (D)×π×回転数 (N)

ここで、

  • Vcは切削速度 (Cutting Speed)、単位は通常はメートル毎分 (m/min) やフィート毎分 (ft/min) です。
  • Dは切削工具の直径 (Tool Diameter)、単位は同じくメートル (m) やフィート (ft) です。
  • Nは回転数 (Spindle Speed)、単位は分あたりの回転数 (revolutions per minute, RPM) です。

この式を使って、切削速度を求める際には、切削工具の直径と回転数が必要です。これらの値は通常、加工する材料や工具によって異なりますので、具体的な加工条件に基づいて値を選択する必要があります。

また、切削速度は材料の種類や加工条件によって異なるため、一般的な値や推奨される値がある場合もあります。

周速の求め方

「周速」は、物体が円形の軌道を進む際の速度を指します。一般的に、円周の長さを時間で割ることで周速を求めることができます。円周の長さは、円周率 πと直径 Dの積で与えられます。

周速 Vを求める式は次のとおりです:

V=π×D×N

ここで、

  • Vは周速 (Circumferential Speed)、通常はメートル毎分 (m/min) やフィート毎分 (ft/min) で表されます。
  • Dは円形の物体の直径 (Diameter)、単位は同じくメートル (m) やフィート (ft) です。
  • Nは回転数 (Rotations per Minute, RPM) です。

この式を使用して、物体が円形の軌道を進む際の周速を求めることができます。回転数と直径がわかっている場合、この式を用いて周速を計算できます。

回転数の求め方

回転数は切削機械の主軸が1分間に何回転するかを表します。回転数は切削速度との関係が深く、回転数は切削速度と逆の方法により求められます。

N=1000×Vc​​÷π×D

ここで、N は回転数(rpm)、Vc は切削速度(m/min)、Dは切削工具の直径(mm)です。

この公式では、切削速度 Vc​を m/min で与え、切削工具の直径 Dを mm で与えることで、回転数 NNを rpm で求めることができます。

ただし、切削速度 Vc​は加工材料や切削条件によって異なります。通常、加工材料の切削速度に関する推奨値が存在し、これを参考にすることが一般的です。また、切削工具の直径 Dも、実際に使用する工具の直径を使用してください。

テーブル送りの求め方

テーブル送りは、切削工具を移動させる速度のことで、送り量とも呼ばれています。一般的なテーブル送りの求め方は以下のとおりです。

送り (Vf)=1刃当たりの送り量 (fz)×刃数 (Z)×主軸回転速度(n)

ここで、

  • fz(mm/tooth):1刃当たりの送り量
  • z:刃数
  • n(min-1):主軸回転速度(1回転当りの送り fr=zxfz)

これにより、回転数と送り速度が与えられている場合、テーブル送りを求めることができます。切削条件に応じて、適切なテーブル送りを選択することが重要です。加工品質、工具寿命、および加工効率に影響を与える可能性があるためです。

1刃あたりの送り

1刃あたりの送りとは、切削工具の刃が1回切削する間のテーブル移動量を指しています。

1刃の送り速度は、1刃当りの送りから下式で計算します。

fz(1刃の送り)=F(送り速度)÷Z(刃数)×N(回転数)

1刃あたりの送り量 fzと切削条件に基づいて適切な値を選択しましょう!

加工時間の求め方

加工時間は机上計算にて求めることが可能です。

Tc(加工時間)=L(テーブル送りの距離)÷Vf(送り速度)

上記の式は単純な計算になります。機械の大きさ、加工物の大きさによって応用に式に切り替わります。

例えば、何回も工具が往復するとか、工具系に対し何%の掛り率かなど含めると精度が向上します。

仕上げ面粗さの求め方

仕上げ面の荒さも理論値として求めることができます。

h(仕上げ面粗さ)=f2(一回転あたりの送り)÷8Re(インサートのコーナー半径)×1000

単位はμmになります。

まとめ

実際の状況(材質・工具・剛性など)に合わせた最適な条件で加工してください。

あくまでも目安になりますので、これらの値を参考にしてより早く、より綺麗に仕上げる切削条件を決めてください。

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