マシニング加工に欠かせない「オフセット」。
しかし、初心者の方にとっては “聞いたことはあるけど、具体的にどう使うの?” と感じるケースも少なくありません。
オフセットは、加工精度を安定させ、ミスを防ぎ、生産性を高めるための最重要設定 といっても過言ではありません。今日は、初めての方でも理解できるように、オフセットの仕組みや使い方をやさしく解説していきます。
オフセットとは?加工精度を支える「補正値」
オフセットとは、
NCプログラム上の座標と実際の工具・ワーク位置の誤差を補正する設定値 のことです。
マシニングセンタはプログラム通りに動きますが、以下のような理由で誤差が生じます。
- 工具の長さが毎回違う
- 工具が摩耗して径が変化する
- ワークの置き位置にバラつきがある
- セット時のわずかなズレ
- 機械温度や加工環境の変化
こうした誤差を吸収し、狙った寸法で正確に加工するための仕組み がオフセットです。
マシニングセンタのオフセットは大きく2種類
工具オフセット(Tool Offset)
工具に関わる補正値を登録します。
- 工具長オフセット(H):工具の長さ補正
- 工具径補正(D):工具径の補正
工具交換のたびに長さや径が変わるため、この設定を正しく行うことで 加工精度の安定化 につながります。
ワークオフセット(Work Offset)
ワーク原点の位置を登録するための設定です。
- 主に G54〜G59 を使用
- 追加座標系として G54.1 なども利用可能
治具やワークの位置が変わっても、プログラムを変えずに加工できるため、段取り時間の短縮 に効果的です。
オフセットが必要な理由
加工品質を安定させるためには、工具・ワークのばらつきを正しく補正する必要があります。
オフセットを使うことで、次のようなメリットが得られます。
- 寸法精度の向上
- 交換工具でも同じ加工寸法を維持
- 加工ミス・衝突リスクの低減
- 同じプログラムで複数ワークを加工可能
- 多品種少量生産に強くなる
マシニング加工において、オフセットは 品質と効率を支える土台 となります。
初心者向け:オフセット設定の基本手順
STEP1|工具長を測定してHへ登録
工具プリセッタや機内測定で長さを測定し、
例:H01, H02… のように登録します。
STEP2|工具径をDオフセットに入力
使用工具の径を D01, D02… に設定。
STEP3|ワーク原点を測定して座標系へ登録
エッジファインダ等でX・Y・Zの原点を測定し、G54などに登録。
STEP4|ドライランで動作チェック
最後に必ず動作確認を行い、干渉や衝突がないかチェックします。
よくあるトラブルと注意点
- T番号・H番号・D番号の混同
→ 番号を揃えるとミスが激減 - 原点の測り忘れ
- G41/G42(工具径補正)の左右間違い
- Z原点の入力ミス:最も事故が起きやすいポイント
初心者の方は特に、Z軸の設定には細心の注意が必要です。
まとめ|オフセット理解は加工品質の第一歩
オフセットはマシニング加工の基本であり、正しく理解することで 品質・効率・安全性が大きく向上 します。
- 工具オフセット(H・D)
- ワークオフセット(G54〜)
この2つをしっかり押さえることが、精度の高い加工への近道です。


