はじめに
製造業や機械加工の現場では、「ボーリング加工」と「中ぐり加工」という言葉が使われます。
「この2つは同じ加工なの?」「違いはあるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ボーリング加工と中ぐり加工は基本的に同じ加工を指します。 ただし、使用される場面や設備によって呼び方が異なることがあります。
今日は、それぞれの意味や特徴、加工方法、使用する工具、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
ボーリング加工(中ぐり加工)とは?
ボーリング加工(中ぐり加工)とは、
すでに開いている穴の内径を切削し、寸法精度や真円度、表面粗さを向上させる加工方法です。
ドリル加工で開けた穴は、どうしても位置ズレや真円度、寸法精度に限界があります。
そこでボーリング加工を行うことで、
- 高精度な穴径
- 真円度の向上
- 同軸度の向上
- 表面仕上げ品質の向上
を実現できます。
ボーリング加工と中ぐり加工の違い
結論として、
ほぼ同じ意味です。
しかし、現場では次のような使い分けをされることがあります。
| ボーリング加工 | 中ぐり加工 |
|---|---|
| 英語「Boring」から来た名称 | 日本語での呼び方 |
| CNC加工・マシニングセンタでよく使われる | 汎用機械や図面で使われることが多い |
| 海外メーカーの工具カタログにも多い | 日本国内で昔から使われている |
つまり、
加工内容は同じで、呼び方が異なるだけと考えて問題ありません。
ボーリング加工の目的
ボーリング加工には次のような目的があります。
① 穴径を正確に仕上げる
ドリル加工だけでは穴径には誤差があります。
ボーリング加工を行うことで、
±0.01mmレベルの精度
を実現できます。
② 真円度を向上させる
ドリル加工では穴がわずかに楕円になることがあります。
ボーリング加工では切削しながら修正するため、
- 真円度
- 円筒度
が向上します。
③ 同軸度を高める
軸受やベアリング部品では、
複数の穴の中心が一致していることが重要です。
ボーリング加工では高い同軸度を実現できます。
④ 表面粗さを改善する
穴の表面を滑らかに仕上げることで、
- 摩擦低減
- シール性能向上
- ベアリング寿命向上
につながります。
ボーリング加工の流れ
一般的な加工工程は以下のようになります。
- センタードリル
- ドリル加工
- 下穴加工
- ボーリング加工
- 必要に応じてリーマ加工
- 検査
このように、ボーリング加工は仕上げ工程として使われることが多い加工です。
ボーリング加工で使用する工具
ボーリングバー
最も一般的な工具です。
特徴
- 超硬シャンク
- 防振タイプ
- 超硬チップ交換式
- 小径・大径対応
現在では超硬製の防振ボーリングバーが主流となっています。
ファインボーリングヘッド
微調整ができる工具で、
μ(ミクロン)単位の加工精度が求められる場合に使用されます。
用途
- 金型
- 治具
- 精密機械部品
ボーリングヘッド
マシニングセンタで使用され、
穴径を自由に調整できる工具です。
試作品や単品加工にも適しています。
ボーリング加工のメリット
高精度加工が可能
寸法精度だけでなく、
- 真円度
- 円筒度
- 同軸度
まで高品質に仕上げられます。
大径穴にも対応
ドリルでは難しい大径穴でも、
ボーリング加工なら対応できます。
穴位置の微修正が可能
わずかな位置ズレであれば修正できるため、
高精度部品には欠かせません。
ボーリング加工のデメリット
加工時間が長い
仕上げ加工になるため、
ドリル加工だけより加工時間は長くなります。
ビビリが発生しやすい
工具の突き出しが長くなるため、
振動(ビビリ)が発生しやすく、
加工条件の最適化が重要になります。
工具コストが高い
高精度工具や超硬工具は価格が高く、
加工品質とのバランスを考える必要があります。
ボーリング加工とリーマ加工の違い
| ボーリング加工 | リーマ加工 |
|---|---|
| 切削量が比較的大きい | 切削量はごくわずか |
| 穴径を自由に変更できる | 決められた穴径のみ |
| 真円度補正が可能 | 穴形状の修正は苦手 |
| 汎用性が高い | 高精度仕上げ専用 |
高精度な穴加工では、
ボーリング加工後にリーマ加工を行うケースもあります。
ボーリング加工が活躍する製品
ボーリング加工は、さまざまな産業分野で利用されています。
- 自動車部品
- FA装置部品
- 半導体製造装置
- 金型
- 工作機械
- 航空機部品
- 建設機械部品
- 油圧機器
- 精密治具
高い精度が求められる部品には欠かせない加工技術です。
加工品質を高めるポイント
高品質なボーリング加工を実現するには、次の点が重要です。
- 剛性の高いボーリングバーを使用する
- 工具の突き出しをできるだけ短くする
- 適切な切削速度・送り速度を設定する
- 摩耗したチップは早めに交換する
- 防振タイプの工具を活用する
- 加工後は三次元測定機や内径測定器で精度を確認する
これらを徹底することで、ビビリを抑え、安定した高精度加工につながります。
まとめ
ボーリング加工と中ぐり加工は基本的に同じ加工であり、呼び方が異なるだけです。
この加工は、ドリル加工後の穴を高精度に仕上げるために欠かせない技術であり、寸法精度・真円度・同軸度・表面粗さを大幅に向上させることができます。
自動車、FA装置、半導体製造装置、金型など、高精度が求められる製品では、ボーリング加工は品質を左右する重要な工程です。
高品質な部品づくりには、適切な工具選定や切削条件の最適化、そして経験豊富な加工技術が不可欠です。ボーリング加工の特徴を理解し、用途に応じて最適な加工方法を選択することで、より高品質で信頼性の高い製品づくりを実現できます。

